この記事をまとめると
■平成9年12月に開通した東京湾アクアラインは利便性が高く地域活性化に貢献している
■休日は交通が集中することにより、周辺道路にまで渋滞が起きているのが問題視されている
■「東京湾口道路」と呼ばれる凍結された道路計画があり、再び復活の兆しを見せている
東京湾アクアラインは休日の渋滞が問題化している
神奈川県川崎市と千葉県木更津市をつなぐ東京湾横断道路が開通したのは平成9年12月18日のことだった。「アクアライン」の通称で知られるこの道は、千葉県の活性化に大いに貢献している。
東京湾沿いの自動車専用道を利用したルートの場合、川崎から木更津までの道のりは約100kmで、順調に走れても1時間半ほどかかる。しかし、橋梁とトンネルを組み合わせたアクアラインの全長は15.1km、渋滞がなければ15分程度で東京湾を横断できるのだ。
アクアラインを利用することで千葉県の房総エリアが身近になった。実際、木更津エリアは観光スポットとして、また首都圏へ通勤可能なベッドタウンとして開発が進んでいる。クルマ好きにはおなじみの「袖ヶ浦フォレストレースウェイ」に首都圏から向かうときにもアクアラインを利用することが多いだろう。
アクアラインによって房総エリアが観光スポットとして盛り上がるのと同時に、房総エリアの住民は東京・川崎・横浜といった対岸へ行きやすくなった。東京湾全体の経済活性化にもつながるルートとして、なくてはならない道になっている。
そうした背景には、ETC利用に限り、大幅に割引した料金も効いているだろう。具体的には、普通車の通常料金3140円に対してETC割引料金は800円となっている。この程度の移動コストであれば、東京湾の横断を気軽にできるというものだ。
ただし、それだけ便利なルートとして多くの自動車ユーザーが利用しているため、週末ともなるとアクアラインは慢性的に渋滞するようになっている。前述したように東京湾沿いのルート(首都高など)はとても長くなってしまい、代替するには適していない。そもそも首都高にしても週末となれば渋滞するのは変わりない。
アクアラインを通らずに神奈川県から千葉県へ東京湾を渡るには、横須賀市久里浜から富津市金谷を結ぶ「東京湾フェリー」を利用するほかないといえる。とはいえ、フェリーが1回に運べる車両は約100台でしかなく、横断するには40分ほどかかる。クルージングを楽しむにはちょうどいい時間だが、移動ルートとしてアクアラインと並列で候補にあがるものではないのは明らかだ。