凍結した計画が再び盛り上がっている
そんなこともあってか、アクアラインが開通するタイミングから、それを補完するルートとして、東京湾フェリーの航路あたりをイメージした「東京湾口道路」が構想されていた。しかしながら、平成20年7月に閣議決定された「国土形成計画」により、東京湾口道路の計画は実質的に凍結されている。
東京湾口をつなぐ長大橋を作るのに必要なコストと、横須賀と富津をつなぐことによる経済効果を考えれば、計画凍結は納得できるのも事実だ。それでも、週末になるとアクアラインが大渋滞する対策として「東京湾口道路があれば幾分は交通量が分散されるのに!」と考えるユーザーが出てくるのも自然な話だ。
また、アクアラインによる経済効果、首都圏の拡大を目の当たりにしている房総エリアの自治体からも東京湾口道路プロジェクトの再開を求める声は出てきている。
実際、令和5年7月27日には、富津市役所にて「房総地域東京湾口道路建設促進協議会」の総会が開催されている。同協議会については平成6年度から存在していたということだが、計画凍結に伴ってその活動もシュリンクしていた。
しかし、上記のようにユーザーから東京湾口道路を求める声が大きくなってきたことを受け、活動を再開することになった。
事務局をつとめる富津市をはじめ、館山市、木更津市、茂原市、勝浦市、鴨川市、君津市、袖ケ浦市、いすみ市、南房総市、大多喜町、鋸南町、御宿町という13市町による協議会が動き出し、政府へ働きかけをすることになったのだ。
対岸の神奈川県サイドにも「三浦半島地域東京湾口道路建設促進協議会」が存在している。こちらは 横須賀市、鎌倉市、逗子市、三浦市、葉山町によって構成されている。両・協議会が連携していけば、東京湾口道路は現実的になっていくかもしれない。
さらに言えば、東京湾口道路というのは、アクアラインの渋滞を軽減するためのサブルートというわけではない。東京湾口道路に加えて、湾岸沿いの自動車専用道インフラを整備することができれば、東京湾をぐるりと周回する、一大経済圏を生み出すことができる。
それは日本経済を元気にするためのカンフル剤となるかもしれない。東京湾口道路プロジェクトの再スタートを大いに期待したい。