ル・マン参戦を意識させるレース用ロータリーというプロフィール
1970年代半ばに日本中を席巻したスーパーカーブームの主役といえば、ランボルギーニ・カウンタックですが、カウンタックの誕生は1974年です。マツダRX500はスーパーカーブームの影響を受けたわけではないことは明らかといえます。むしろ時代背景としては、1960年代にフォードがル・マン24時間耐久レースで勝利するために生み出した「GT40」の影響が垣間見えるというのが筆者の勝手な印象です。
非常にコンパクトなロータリーエンジンをミッドシップに積んでいながら、巨大なエンジンカウルとなっているのは空力を追求した結果という話も伝わっています。ボディ後端でスパッと切った「コーダトロンカ」的なフォルムは過去のル・マンで活躍した名車からの影響も感じ取れます。
さらにいえば、RX500にはレース用に250馬力以上を発生するようファクトリーチューンされた10A型ロータリーエンジンが搭載されていたことが明らかとなっています。コンセプトカーとして市販を考慮するならば量産ロータリーエンジンを搭載すべきともいえますが、レース用エンジンが載っていたということは、GT40のようなル・マン参戦をどこかに意識していたのかもしれません。
ちなみに、1970年のル・マンにはマツダのレース用ロータリーエンジンを供給されたプライベートチームがシェブロンB16マツダで参戦しています。そのノーズにはデカデカと「POWER BY MAZDA ROTARY-JAPAN」という文字とロータリーのアイコンが飾られていました。
シェブロンB16のノーズに見える文字の書体は、RX500のテールに書かれた「Powerd By ROTARY」と同じように見える点も、RX500とル・マンの関連性を感じずにはいられません。