ライバルに揶揄されるし人気はイマイチだしで不遇のスカイライン・ジャパン! 最近「じつは名車じゃね?」と気付かれて人気上昇中だった (2/2ページ)

最近では良さが改めて見直されている

ドラマ「西部警察」で活躍した「マシンX」の衝撃

 旧車好きでなくても、「西部警察」に登場する「マシンX」は好きという人はけっこう多いのではないでしょうか。筆者もそのひとりで、ブラックのボディに金文字で「2000GT TURBO」と誇らしげに記された堂々とした佇まいに魅せられ、憧れを持って観ていたのをいまでも鮮明に思い出せます。

日産5代目スカイライン

※画像はマシンXと同色のスカイライン

 外観は、「カンパニョーロ」製のマグネシウムホイールを採用した当時の特別仕様車「ゴールデンカー」そのもので、憧れた人が実際に手に入れられるということを強く打ち出していたのだと思われます。

 なんと言っても強く印象に残っているのがその特殊装備でした。助手席部分には、無線や追跡装置などの電子機器が装備されたコントロールパネルがあり、飛行機の計器パネルを思わせるその非現実感に打ちのめされました。しかし、後から少し調べてみると、その装備の数々は円谷特撮のようなハリボテではなく、実際に機能する製品や、いまのカーナビ的装置などの、いずれ実現されるであろう未来の可能性をしっかり吟味されたものが使われていたことに驚かされます。

日産5代目スカイライン マシンXの車内

 この「マシンX」のベースとなったのは、ターボが追加された後期モデルの「2000ターボGT-E」だとされています。年式はおそらく1980年で、ドラマで初登場したのが「大激走! スーパーマシン(PARTⅠ・54話)」で1980年8月放送なので、ドラマの撮影や車両の架装のタイミングを考えると、ターボモデルの発表前から製作に掛かっていたと思われます。そのことだけを見ても、当時メインスポンサーだった日産の本気度の高さが窺えます。

昨今の旧車ブームのなかでの「ジャパン」

 先に書いたように「ジャパン」は、旧車ファンの人気のランキングで見たときに、10年ほど前まではだいぶ下の方だったという印象でした。というよりも、スカイラインとしては「ハコスカ」と「ケンメリ」が不動の2強で、ほかは少数派となっていたように思います。

 その昔、族車として多くの旧い車種が改造のベースとして使われていましたが、その世界では「ジャパン」の採用率はかなり高かったと思います。その理由として考えられるのは、まず「スカイライン」という格の高い車種であること。そして、その「スカイライン」のなかで、当時比較的入手しやすい新しめのモデルだったというのも大きかったのではないでしょうか。あるいは角張ったデザインが、派手さを競うウエイトの大きい族車として適していたのかもしれません。

日産5代目スカイラインのカスタムカー

 そしてその後で、いまに続く“旧車ブーム”が起こるわけですが、「ハコスカ」と「ケンメリ」が強すぎる状況に加えて、族車にもてはやされて数が減ってしまった「ジャパン」は現存数が少なく、イベントなどでも出会える確率が低い車種となっていました。

 その後、旧車の人気の上昇にともなって中古市場価格が高騰するようになり、徐々に新し目の車種にも注目が集まるようになって、「ジャパン」にスポットライトが集まっているというのがいまの状況です。それで、これまではよく知らなかった「ジャパン」の魅力が掘り起こされて、再注目されているのを感じます。

日産5代目スカイライン

 実際に所有する場合を考えてみると、補修パーツの充実度はこれから期待するところで、カスタムパーツも決して多くはありません。しかしその一方で、趣味のクルマにとって大事なポイントであるデザインに目を向けると、直線基調の潔く勢いのあるキャラクターラインや絶妙なウエッジシェイプのシルエットなど、いま見ても新鮮さを感じるスッキリした外観には、独特の魅力を感じます。

 広告で謳われていたように、日本の国土にマッチしたGTカーとして設計されたシャーシを持つ車種なので、例えば1〜2泊を想定したロングツーリングに出掛けると、きっと「ジャパン」の良さをいまでも十分に堪能できると思います。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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