京都でのEVタクシー普及は営業のための実績作りの場! 韓国や中国のBEVメーカーが狙う日本のタクシー業界 (2/2ページ)

過疎地域こそBEVのタクシーが大活躍する!?

 インドネシアでは数年前からBYD製のBEVタクシーを最大手の事業者が導入している。導入当初は空港から40分ほどかかる振興開発都市までは「このタクシーでは無理だ」と断られることもあったが、今年、筆者が利用するとすんなり乗せてくれた。つまり、性能うんぬんではなく、乗務員自身が扱いに慣れるまでには、実際にどこまでなら行って帰ってこられるかなど、手に馴染ませる期間が必要なのだなと感じた。

インドネシアのBYDタクシー

 もちろん、東京などでもBEVタクシーは走っているが、全体の保有台数に比べればわずかとなっているほか、BEVタクシーを扱う業者の移動範囲は23区内と三鷹市、武蔵野市とそもそも営業圏内が広大。さらに、数は少なくなっているものの、深夜などでは東京都内から東京隣接県への利用というものもある。

 日本のタクシーはそもそも燃料がLPガスであることが大半であり、タクシー乗務員は深夜割増が始まる前にLPガスを満タンにし、ロング客に備えていた。LPガスの充填場所、つまりガススタンドはそれぞれの事業者で指定されており、たとえば出先でLPガスの残量が少なく急遽充填となると、かなり面倒になるそうだ。ましてや深夜なら、営業していない可能性もある。

LPガススタンド

 このようなこともあり、BEVになっても「充電量が少なくなったら……」という心配も余計にしてしまうのかもしれない。

 その意味でも、京都でいまBEVタクシーが積極的に導入されている背景は、車両供給している韓国や中国系BEVのインポーターはその実績をセールスツールとしてさらなる販路拡大に使うこともできるからだろう。いまの日本では、過疎地域ほどLPガススタンドはおろかガソリンスタンドすら空白地帯となっていることが珍しくない。最後の自動車を動かすエネルギーは電気となっていると言っても過言ではない。

 公共交通機関からBEV化すれば、バスやタクシーに乗ってまずBEVに馴染んでもらうことができ、結果的に一般乗用車のBEV販路拡大にもつながることになるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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