刑法から独立した法律も10年ほど前に制定された
クルマの購入時といえば、車庫証明が必要になるのはベテランオーナーであれば承知しているところだろう。クルマ購入と駐車場の確保はセットでなければならない。
こうしたルールの根拠となっているのが「自動車の保管場所の確保等に関する法律」で、なんと昭和37年に制定された古い法令だ。その第一条には次のように記されている。
“この法律は、自動車の保有者等に自動車の保管場所を確保し、道路を自動車の保管場所として使用しないよう義務づけるとともに、自動車の駐車に関する規制を強化することにより、道路使用の適正化、道路における危険の防止及び道路交通の円滑化を図ることを目的とする。”
いまでは考えられないことだが、昭和の時代には公道上を駐車場代わりに使う「路上駐車」がまかり通っていた。それでは円滑な通行を阻害するということで、「自動車の保管場所の確保等に関する法律」が生まれたのだ。
最後に、自動車の安全に関わる重要な法令を紹介しよう。
いわゆる交通死傷事故に関する報道おいて「業務上過失致死傷」という罪状を聞いたことがあるだろう。これは「刑法」によって定められているものだ。さらに、飲酒運転など悪質な交通事故に対する社会的な批判に応じて「危険運転致死傷」や「自動車運転過失致死傷」が追加されていった。
そして、悪質な交通死傷事故に対するものとして、刑法から独立するかたちで「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」、通称、自動車運転死傷行為処罰法が平成25年に生まれた。
その第三条には『アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する』など厳しい罰則が規定されていることで知られている法令だ。
2020年の改正では、危険運転致死傷の条件として高速道路上で強制的に停止させるなど悪質な「あおり運転」と呼ばれる行為も追加されるなど、最新の交通安全トレンドに対応した法令として自動車ユーザーであれば注目すべき法令といえるのだ。