注目のエステートにも触れることができた!
後述のトークショーでも多くのゲストから人気を集めていた「エステート」が持つ最大の魅力は、やはり後席と荷室の広さ、そして使い勝手の良さだろう。「セダン」に対し全長が100mm、ホイールベースは150mm短いにも関わらず、クッションがやや硬めの後席は頭上・膝まわりともセダンに匹敵する広さ。また、言うまでもなくセンタートンネルが低く狭いため、左右方向にも大きなゆとりを感じられる。
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その後席背もたれは簡単に倒せるうえ、背面に装着されたパネルを前方へ裏返しすると、奥行き約2mにもおよぶフラットな荷室を得ることができる。サーフィンや車中泊などのアウトドアレジャーに用いることも決して不可能ではないだろう。

そんな「エステート」のエクステリアは、「クロスオーバー」と全長(4930mm)とホイールベース(2850mm)が同一ながら、40mm広い全幅(1880mm)と80mm高い全高(1620mm)、水平基調のシルエットも相まって、SUVらしい活発さを備えながらも伸びやかで落ち着いた佇まい。
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インテリアも、平置きされていたPHEVはブラウンの本革で仕立てられており、やはりアクティブかつ上品な雰囲気を醸し出していた。

今回正式発表された「スポーツ」は、シリーズ中もっとも短い4720mmの全長に、スポーツカーとSUV双方の力強さを凝縮したようなスタイルながら、「前席優先で設計した」(本間裕二開発主査)という室内は決して狭くない。後席もニークリアランスこそ20cm程度だが、ヘッドクリアランスは身長174cmの筆者が座って約10cmと、ほかの3モデルよりむしろ広いほどだった。
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トークショーには、2023年10月よりZSチーフエンジニアとしてクラウン、センチュリー、ミライの全体総責任者を担う清水竜太郎開発主査と、「スポーツ」「エステート」の開発取りまとめを担当する本間裕二開発主査、宮崎満則チーフデザイナー、宍戸恵子カラーデザイナーが登壇。

16代目クラウン各モデルに込めた想いや特徴、ブランド戦略が口々に語られる中で、トヨタ初の車種専門店「THE CROWN」が10月6日より横浜都筑と福岡天神にオープンし(2023年度中に愛知、2024年度中に千葉と東京にもオープン予定)、和を基調としたショールームや専売グッズ「THE CROWNコレクション」が展開されることも明らかにされた。
その後、「多様性を自分らしさ」をテーマとして、モデルの秋元梢さん、俳優の大谷亮平さん、作家の川上未映子さん、西陣織「細尾」12代目の細尾真孝さんをゲストに招いたトークセッションも実施。

78年16代の歴史と日本車らしさをバックボーンとしながら、初めてグローバル展開を開始した現行クラウンになぞらえて、日本から世界へ羽ばたいた各ゲストが、日本人が海外へ進出する際に意識する(べき)違いや強みなどについて述懐。
セッションの最後に「4モデルのなかでもっともお気に入りのクラウンは?」と問われると、秋元さん、大谷さん、川上さんは広さと使い勝手の良さから「エステート」、細尾さんは「クラシックさが残りながらも未来に向かって変わっていっている。またこの低さが京都の町並みにも似合う」という「セダン」を選んでいた。