2024年は軽バン戦国時代の到来! 軽商用車が一気にEVに置きかわるこれだけの理由 (2/2ページ)

軽商用車の急速充電はあくまで補助的に使うもの

 一方で、もちろん課題もある。

 たとえば、軽商用EVが普及したときに急速充電インフラが不足するのではないか、という問題は誰もが思いつくだろう。街のコンビニなどに急速充電器を設置しても、常に宅配の軽商用EVが占領しているようなことになれば、一般ユーザーがEVを避けるようになってしまう、という声も聞こえてくる。

EVの急速充電器のイメージ写真

 ただし、それは杞憂となるだろう。前述したようにランニングコストが最重要といえる軽商用車(ビジネスユース)において、普通充電よりも割高になる急速充電を日常的に使うことは考えづらい。イレギュラー的に急速充電を使うこともあるだろうが、それも最小限にとどめ、営業所などでの普通充電で運用することが基本となるはずだ。

ホンダN-VAN e:

 蛇足ながら、初期のEVオーナーであった筆者の経験からいえば、EVというのはメンテナンスに関するコスト(エンジンオイル交換が不要など)の面でもエンジン車より有利な傾向にある。

 固定ギヤのEVにおいては、高速の連続走行が苦手という傾向にあるのも事実だが、逆にラストワンマイルの宅配業務においては低速走行のスムースさやストップ&ゴーを得意とするEVの特性はメリットでしかない。

三菱ekクロスEVの走行写真

 ただし、EVは高価なバッテリーを積む関係から、エンジン車に対して100万円単位で車両価格が上がってしまうことはビジネスユースでは欠点になると思えるが、ホンダがN-VAN e:を100万円台でリリースするとアナウンスしているように、ビジネス用途のフリートユーザーが受け入れられる価格帯となることを目指している。

ホンダN-VAN e:

 普及初期においては、政府や自治体からの補助金ありきでエンジン車と同等コストとなる可能性も否定できないが、前述したようにガソリン価格の上昇トレンドが下降するとは思えない社会情勢だけに、ガソリンよりも安価な電気で走れる軽商用EVへのシフトは一気に進むのではないだろうか。

 状況を考えるほど、「2024年は軽商用EV元年」となることは確実と思えてくる。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

愛車
スズキ・エブリイバン(DA17V・4型)/ホンダCBR1000RR-R FIREBLADE SP(SC82)
趣味
モトブログを作ること
好きな有名人
菅麻貴子(作詞家)

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