80型スープラは豊田章男会長もニュルで腕を磨いたクルマ! 偉大な4代目の歴史を振り返る (2/2ページ)

歴代スープラを紹介!

初代(40/50型:1978年)

 初代スープラは1978年にデビュー。ただ、初代の日本名は「セリカXX(ダブルエックス)」。北米で「XX」とは映画視聴の年齢制限を意味する表記だったことで、北米版はスープラと名付けられたのでした。

 4気筒エンジンを搭載していた2代目セリカをベースにホイールベースを130mm延長。ノーズも延長し直列6気筒エンジンを搭載し、内装をラグジュアリーテイストに仕立てました。

トヨタ・スープラ(初代)のフロントスタイリング

 パワーユニットは最高出力125馬力を発揮する2リッター直6、および140馬力を発揮する2.6リッター直6エンジンをラインアップ。その後、マイナーチェンジにより2.6リッター直6が最高出力145馬力を発揮する2.8リッター直6エンジンに変更されています。

 現行モデルはコテコテのスポーツカーですが、初代スープラは北米市場のニーズに合わせラグジュアリークーペとして仕立てられていたのが特徴といえるでしょう。

2代目(60型:1981年)

 リトラクタブルヘッドライトを備えた外観が目を引く2代目スープラは1981年にフルモデルチェンジで登場。国内では初代同様、セリカXXとして販売されました。

 シャープなフォルムを採用した2代目は、見た目のイメージより優れた空力性能(CD値0.35)を実現。どちらかというとまだスペシャリティカー寄りではありましたが、トヨタとの関係が深かったロータスが2代目の開発に関わっていたことなどを理由にスポーツカー好きからも注目を集めます。

トヨタ・スープラ(2代目)の走り

 デビュー時に用意されたエンジンは最高出力125馬力の2リッター直6と170馬力を発揮する2.8リッター直6。その後、2リッター直6SOHCターボと2リッター直6DOHCのNAエンジンを追加し、1983年に行われたマイナーチェンジで2.8リッターエンジンの出力が175馬力まで向上しました。

 また、高級クーペのソアラに初めて装備されて話題を集めたデジタルメーターやクルーズコントロール、電子チューナー付きオーディオセット、さらに目的地までの距離を自動で算出し方角などを表示するクルーズナビコン、と最先端機器を装備したことも特徴です。

3代目(70型:1986年)

 国内でも海外同様スープラを名乗るようになった3代目。プラットフォームがセリカではなくソアラと共通になったことも特徴です。

 トヨタ2000GT以来だという四輪ダブルウイッシュボーンサスの採用やパワーユニットの性能向上などを実現。スペシャリティ路線から本格スポーツカーへとコンセプトを方向転換したことが3代目最大のトピックスといえるでしょう。

 デビュー時のパワーユニットは2リッター直6・NAと2リッター直6・DOHCターボ、3リッター直6・DOHCターボの3タイプ。ただ、3リッターエンジン搭載車には2リッターモデルにある5速MTが用意されず4速ATのみとなるなど、走りの2リッターエンジン仕様、豪華な3リッターエンジン仕様と設定されていたようです。

トヨタ・スープラ(3代目)の走り

 デビュー翌年には3リッターエンジン仕様にMTを追加。同時に海外仕様で採用されていたワイドフェンダーボディも追加され、迫力あるエクステリアデザインを実現しました。

 その後、3リッターはすべてワイドフェンダーボディとなり、1988年にはレース車両のベースモデルとなる500台限定の“ターボA”が販売されるなど、スープラの位置づけがピュアスポーツ志向へと変化していきます。

 その後、1990年に、3リッターエンジンに代えて280馬力の1JZ-GTEを搭載する2.5GTがラインアップされるなどの変更などが行われ、ピュアスポーツとなった80型にバトンタッチされました。

5代目(DB型:2019年)

 80型の販売終了から17年、長い沈黙を経て復活したのが現行スープラ。開発はBMWとの共同で、基本コンポーネントは同車のZ4と共用。搭載するエンジンはBMW製直6エンジン、車両製造はマグナ・シュタイナー(オーストリア)が担うなど、複雑な工程を経て開発・製造されています。

 現行型のフォルムは80型に通じるロングノーズ+ショートキャビンのプロポーションにワイドトレッド、絞り込まれたキャビンなどピュアスポーツカーらしいもの。キャビンを絞り込むなど空力にもこだわられたデザインを採用しました。

トヨタ・スープラ(5代目)の走り

 パワーユニットは2リッター直4ターボエンジンと3リッター直6ターボエンジンでいずれもBMW製の2種類。

 B58型3リッターエンジンは最高出力340馬力、最大トルク51.0kg-m。3リッターエンジンは2020年の一部改良により最高出力を387馬力に向上。これはエキゾーストマニホールドの変更やピストン形状を変えたことによるもので、同時にボディ剛性の向上やサスペンションのセッティングも改良されました。

 現行モデルはMT仕様に特別仕様車の追加などを行い、現在まで進化が続けられています。

まとめ

 国産スポーツカーを引っ張る現行スープラ。歴代スープラの特徴ともいえる直6エンジンとFRレイアウトを継承し開発されましたが、大きな影響を与えているのは80型です。

 事実、そのフォルムや「RZ」とのグレード名も80型から引き継いでいるもの。正統派ピュアスポーツとして開発されたのも80型があったからこそ。

 排ガス規制などの影響で日産スカイラインGT-R(R34型)やマツダRX-7などとともに生産終了(2002年)となりましたが、偉大なスポーツカーだったのは間違いありません。


手束 毅 TEZUKA TSUYOSHI

フリー編集者/ディレクター

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