なんで待望のロータリー復活にMX-30が選ばれた? 売れ筋モデルに搭載しなかった理由とは (2/2ページ)

今後のマツダのロータリー戦略に期待

 ところが、ご存じのとおり世の中が急激に変わり、一部地域では本格的な電動化の要素がないと目を向けてもらえないほどになった。そこで、マツダとしても電動化に取り組んでいることをアピールする必要があった。

マツダMX-30 e-SKYACTIV REVのバッジ

 もともと電動化を念頭において開発されたMX-30について、日本よりも早くBEVや今回のロータリーEVを、マツダにとって重要な市場である欧州に導入した背景には、そうした事情がある。

マツダMX-30 ロータリーEVのエンジンルーム

 そうなると、なぜもっと量販が見込めるCX-30ではなくMX-30だったのか気になるところだが、件の新しいロータリーを用いた電動パワートレインは、当面はほかのマツダ車に載せる予定はないという。

 EVの世界でマツダはフロントランナーになろうとしているのではないことはおりに触れて伝えられているが、それ以前に、ロータリーエンジンの生産能力によるところが大きいようだ。年間で最大2万台と伝えられており、これにうまくはまりそうなのが、MX-30ということだ。

 MX-30はいわゆる万人向けの「普通」のクルマではないので、販売はそれなりに制約を受ける。たとえばCX-30にも積まれれば数としてはそれなりに売れるだろうが、売れたら売れたで別の問題が出てくる。いろいろな意味で、MX-30がもっとも適任といえそうだ。

マツダMX-30 ロータリーEVのリヤスタイリング

 今後の販売や市場の動向によっては、計画や体制を見直される可能もあるだろうが、かりに増産するとなったときに、そのための設備投資や回収のことを考えると、ひととまずMX-30のみでやっていくというマツダの方針はじつに理にかなっているように思えてくる。

 ただし、ロータリーについては、現状のガソリンだけでなく、水素などのさまざまな燃料に対応可能で、将来につながる発展性があるという旨を執行役員も述べていた。また、ロータリーエンジンについても、駆動用として使うことをにおわせるような特許出願を行なっており、レンジエクステンダーだけで終わらせるつもりではないようだ。

 ひとまずはMX-30を皮切りとして、今後マツダのロータリーにはまだまだいろいろな可能性があると認識してよいかと思う。


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