この記事をまとめると
■カーナビは年々進化しており、到着予想時刻も正確な時間が出るようになった
■主に人工衛星が発するGPSというコードを利用して自車の位置を割り出している
■各所に設置されているビーコンや内臓のジャイロセンサーを使ってさらに精度を高めている
ところで「カーナビ」ってどうやって動いてる?
運転席に座ったら、まずカーナビをセットするという人も多いですよね。目的地を検索すれば、そこまでの最短ルートからもっとも料金が安いルートなど、さまざまなルートを表示してくれたり、ルート上の渋滞や工事など、現在起こっている状況を把握してくれるので、最近ではかなり正確な到着予想時刻が出発前からわかるようになってきました。
でも冷静に考えるとそれ、どうやって把握しているのでしょうか? 今回は「カーナビ」こと「カーナビゲーションシステム」の仕組みをご紹介します。
まず、カーナビに必要な情報として、自車位置を特定するところから。これは「GPS」(グローバル・ポジショニング・システム)といって、もともとはアメリカが航空機や船舶などの運航を助けるために開発した、専用の人工衛星より発信された信号(コード)を受信機がキャッチし、現在の位置を特定するシステムを使っています。
※画像はイメージ
GPSは国によって名称が変わり、ロシアのGLONASS、欧州のGalileo、中国の北斗(Compass)を含む総称はGNSS(グローバル・ナビテーション・サテライト・システム)。これが2014年12月現在の情報だと、76個の専用衛星を打ち上げているということで、そのうち日本が利用できるのはGPSとGLONASSの56個となっています。
さらに、日本は準天頂衛星「みちびき」という、センチメートル単位での位置情報を割り出すことができる高精度で安定した衛星測位サービスを2018年にスタートしていますが、これは全世界をカバーするものではなく、日本とオーストラリアの近辺のみが対象。そのため、あくまでGPSを補うものという位置付けです。
ではどうやって自車の位置を特定しているのか。GPSの衛星は主に内蔵する原子時計を利用した正確な時刻、衛星の位置(軌道)の情報を発信しています。この情報を受信したカーナビは、受信するまでにかかった時間から衛星との距離を計算し、現在位置を割り出します。このとき、ひとつの衛星からの信号だけでなく、4つの衛星からの情報を同時に受信して割り出しています。
ただし、近年ではどんどん少なくなっていますが、都市部の高層ビルが林立するような場所や、海底や地下深くのトンネルなど、信号が届きにくいところもまだあります。そんなときには、カーナビが内蔵するジャイロセンサーといって、回転量を電気信号に転換して角速度を計測するシステムを使い、クルマから得られる車速信号などと合わせて、自車位置を推測しています。
さらに、こうして得た位置情報をカーナビ上の地図に正確に表示するために、マップマッチングというシステムも使われています。