スポーティグレードでも日常使いができる乗り味!
と、本来、コンパクトカーの定番とも言えるゴルフのハイスペックなモデルとなるGTIとRだから、乗り心地はかなりハードなのか? と思いがちだが、さにあらず。GTIはライバルとくらべ、かなり大人っぽい乗り味が特徴で、快適かつ上質感に溢れたタッチに終始。ファミリーカーとしても十分に通用する商品力がある。
知り合いが、家族からスポーツカーの購入を反対され、ならばVWゴルフにする、と宣言したら、家族からOKが出た。しかし、こっそり買ったのはGTI。本人はそのパフォーマンスに満足しつつ、家族は快適なドイツ製コンパクトカーのキャラクターに納得……という、家族騙し!? のスポーツハッチでもあるのだ。
では、Rになるとガチガチな乗り心地になるのか、と言えば、これまたNOである。確かにスポーツ寄りのモードではスポーツカーそのもののタイトな乗り味にはなるものの(パフォーマンスを考えれば当然だ)、一転、コンフォートモードにセットすれば、高性能を味わいつつ、日常域で不満のない快適な乗り心地を提供してくれるのである。このあたりこそ、VWゴルフの立ち位置、本領発揮と言える部分ではないだろうか。
しかも、Rならヴァリアントも選択でき、大きな荷物を積みつつ快速で移動できるオールラウンダーな、ほぼクラス唯一のキャラクター=超本格スポーツワゴンが手に入ることになる。
ただ、一般論として、日本の路上で使ううえでは、パフォーマンス的にはGTIで十分以上という印象だ。派手過ぎず後席やラゲッジルームの実用性に富む超高性能スポーツカーを望み、なおかつワゴンボディが必要であるなら、R ヴァリアントの選択が大きな意味を持つ。
2シーター、2+2シーターのドイツ製高性能スポーツカーの所有者が、家族とのドライブ用にゴルフRを愛用している例は少なくないそうだ。それがR ヴァリアントなら、アウトドアも楽しむ理想的な、スポーツカーファミリーの2台持ちになると思える。運転がそれほど得意じゃない奥様や娘だって無理なく運転できるサイズ、取りまわし性の良ささえ備えているのだから。
ゴルフVIIのヴァリアント ハイライン(COXのローダウンサスとパフォーマンスダンパー付き)に乗り続け、現在も満足している筆者としては、次期愛車もゴルフヴァリアントにするつもりだが、個人的な話として、GTI程度のスペック、価格のGTIヴァリアントがあれば理想的だ。もっとも、元祖ホットハッチのGTIにヴァリアントが加わることは絶対にないはずだけど……。
ちなみに標準型ゴルフ、ゴルフヴァリアントにR-Lineというグレードがあるが、それは標準型ゴルフのスポーティドレスアップバージョンであり、パフォーマンスは標準型ゴルフと変わるところはない。ゴルフRとは別物である。