優勝は逃すも並じゃない技術力の高さを披露したロバンペラ
さらにTOP4ではウエットコンディションを攻略しており、BMW M3を駆る山下広一との一騎討ちを制してファイナルへ進出した。
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ファイナルの対戦相手はトヨタ・チェイサーを駆るKANTA。最初の走行はKANTAがリード(先行)、ロバンペラがチェイス(後追い)で行われたのだが、ここでロバンペラが痛恨のスピン。一方、ポジションを入れ替えた2回目の走行では、アグレッシブな走りを披露するリードのロバンペラにチェイスのKANTAが完璧な追走を披露。そのパフォーマンスはロバンペラに「ウエットコンディションでミスをしたことは残念だった。それにKANTA選手のドライビングが素晴らしかった」と言わしめる状態で、KANTAが岡山大会を制し、2023年のチャンピオンに輝いた。
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このようにロバンペラにとって2度目のフォーミュラ・ドリフト・ジャパンとなった第6戦の岡山大会は悔しいリザルトとなったが、それでも数多くのファンがWRCチャンピオンの走りに魅了されたに違いない。ターマックのほか、グラベル、スノー&アイスと、どんな路面でもベストタイムを叩き出してきただけに、ドリフト競技でもそのコントロールは世界レベルで関係者も絶賛していた。
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まず、フォーミュラ・ドリフト・ジャパンのほか、D1グランプリでも活躍するドリフトのスペシャリスト、日比野哲也は「あまり乗っていないマシンで、そんなに練習もできない環境のなか、あれだけ精度の高いドライビングを見せていますからね。しかも、本人にしてみれば、まだ余力を残している状況だと思いますから、絶対に破綻することはない。普通のドライバーはすぐに限界まで攻めて失敗するんですけど、そこはプロフェッショナルなドライバーだな……と感じますね」とのこと。

さらにロバンペラがドライビングしたGRカローラの開発およびメンテナンスを担うキャロッセのチーフメカニック、渡部貴志も「圧倒的にコントロールのレベルが高いですね」としたうえで、「フォーミュラ・ドリフト・ジャパンに参戦して4年目になるんですけど、ロバンペラ選手はほかのドリフトドライバーと乗り方が違うのか、セッティングの方向性も違いますね。ほかのドライバーはステアリングの切れ角を欲しがるんですけど、ロバンペラ選手は、そこは重視していない。どちらかというとトラクションを重視していて、四輪駆動車のように荷重移動でクルマを曲げているような感じで、リヤをうまく使っていると思います」と分析する。
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ラリードライバーのなかでも、フィランド出身のドライバーはアクセル全開率が高い印象があるが、ロバンペラはドリフト競技でもそれ実践しているようで、ラリー競技で磨かれた独自のアプローチでドリフト競技を攻略し、芸術的なドライビングを披露しているのである。