意欲的なデザインではあったがユーザーとのすれ違いで不発に
説得力に欠けた後付け感という不幸
続いては、2代目のインプレッサです。2000年に登場した同車は初代から一転した丸形ランプが賛否を呼び、わずか2年後には「涙目」と呼ばれる変形ランプに変更。さらに、3年後の2005年にはいきなりのスプレッドウインググリルの採用となりました。
じつに目まぐるしい変化ですが、グリルはフロント形状に合わせ込んだ形状で、意外に違和感はありません。恐らく「鷹目」と呼ばれたランプ形状も一体で変更したのが功を奏したのでしょう。ただし、「なぜいまインプレッサに?」という唐突感に加え、そもそもの没個性ボディが相まって「失敗」の烙印が押されたようです。
千載一遇のチャンスを逃がしたデザイン改革
最後は「B9トライベッカ」。北米市場をメインとした大型SUV需要に対応するべく2005年に登場、一部の並行輸入を除いて日本には導入されなかったクロスオーバーSUVです。
あらためて同車を見ると、安定感のあるプロポーションにシンプルで大らかな面構成が魅力的で、リヤビューには最新のSUV車を先取りした先進感も見られました。懸案のグリルも、シンプルな造形となってボディにしっかり溶け込んでいます。
つまり、このトライベッカには当時のスバルが目指していた大幅なデザイン性向上の具体案が見えるのです。残念なのは、そのなかで提案されたスプレッドウイングスグリルがうまく機能せず、そこにばかり話題が集中してしまったこと。このすれ違いがなければ、いまのスバルデザインはまた違った展開になっていたのかもしれません。