そんじょそこらの「マイクロカー」とはひと味違う! もう飼いたいレベルのカワイイ「商用バン」まで揃えたゴッゴモビルがすごい (2/2ページ)

商用バンやカスタムモデルなどバリエーションも豊富

 さて、ここまでならゴッゴモビルも他のマイクロカーメーカーとさして変わりはないのですが、じつは28万台という生産台数のうち、3000台強がTLバンという商用車だったのです。とかく、マイクロカーはその大きさやパワーから、ヒトを運ぶので精一杯と思われがち。荷室スペースだってたかが知れてるし、バンなんてとてもとても、という先入観をゴッゴモビルは見事に裏切ってみせたのです。

 とはいえ、ご覧の通りマイクロサイズですから、引っ越し業者やレンガ職人あたりからは見向きもされなかったはず。250ccや300ccという排気量ですから、さしずめゴムひも運んだりするくらいの実用性だったかと(笑)。それでも、少ない生産台数からオークションではセダンやクーペをはるかにしのぐ10万ドル近い落札価格も記録されています。可愛らしさもダントツですからね。

 また、オーストラリアの熱狂的なゴッゴモビルファンだったビル・バックルは、グラースからの許可を得て、オープン2シーターのスポーツモデル「ゴッゴモビル・ダーツ」をオリジナルで作り上げてしまいました!

 ゴッゴモビルをローリングシャシーとして輸入して、バックルのファクトリーで作ったFRPボディやインテリアトリムを架装する方式で、車重は380kg、最高速はエンジンにもよりますが85km/hに達したと記録されています。

 オーストラリアからアメリカやイギリス本土にも輸出されたというレアなモデルで、むろんオークションでも人気の的。ミントコンディションなら5万ドルの値付けも珍しくないとのこと。

 なお、ゴッゴモビルは1966年にグラース社がBMWに買収されるまで生産され続けましたが、親会社のBMWは「興味なし」の体でもって生産中止。自社のイセッタも作らなくなっていましたから、仕方のないこととはいえ、ゴッゴモビルの愛嬌あふれる姿を見るといまでも惜しいような気がします。


石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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