【試乗】高級ブランド車で悪路を攻める快感!! GXはオフロードでもレクサスっぷり全開だった (2/2ページ)

自然と調和しながら自然を楽しむレクサスの新提案がROV

 次に泥濘路へ歩みを進めると、マッドテレインタイヤではないダンロップ・グランドトレックAT23というタイヤにも関わらず、電子制御が作動介入することなく4輪駆動本来のシステムが持つ駆動力だけで、スムースに走り抜けることができた。

レクサスGXのオフロード走行シーン

 道幅の細いルートへのタイトターンでは、ステアリングをフルロックまで切り込むが、その操舵力は極めて軽く、また最大操舵角も大きいので、 車体の寸法からは想像できないほどに小さく曲がることが可能だ。路面からのキックバックなどはうまく抑え込まれ、ハンドルを取られることもほとんどない。ちなみにステアリング機構には電動パワーアシストが採用されており、ダブルピニオンのステアリングシステムとして構成されている。

 最後のステージは大きな石が敷き詰められた路面で、高さ1mほどの小山が造形されている。フロントカメラ画像を合成し、エンジンフードが透けて見えるようなイメージ画面がモニターに映し出され、直接目で見ることができなくてもモニター画面を通して車体下の路面状況を知ることができるのはありがたい装備だ。

レクサスGXのオフロード走行シーン

 この石の敷き詰められた小山を乗り越えるにあたってはモーグル制御を起動させ、時速1kmから5kmで進むことができる。 任意の速度を設定しておけば、 ドライバーはアクセルもブレーキも踏む必要はなく、ステアリングにのみ集中して走破するができるのはありがたい。

 こうした極悪路での走行でもボディのきしみ音ひとつすることがなく、非常に剛性の高いシャシーと、また静かなエンジンによる静粛性、そして電子系制御の介入の適切な度合いなどで、GXがレクサスを名乗るにふさわしい走破性を備えていることがわかった。

 室内の装備やデザインの使い勝手などにおいてもレクサスクオリティが取り入れられており、LXとは異なる快適性と実用性を保っていた。

レクサスGXのインテリア

 新型GXもこれまでどおり北米を中心に世界的に将来にわたり高い人気を得るベースとなる資質を備えていることが確認できた。

 このGXの試乗会場には、もうひとつ魅力的な車両が用意されていた。それはROV(レクリエーショナルオフハイウェイヴィークル)と呼ばれるオフロード専用の小型バギー車だ。

レクサスROVのフロントスタイリング

 ヤマハが北米で販売しているYXZ1000SSをベースに、レクサスがさまざまなアレンジを加え、レクサスブランドの魅力を表現しているという。新型GXの逞しい悪路走破性を活かして、GXが踏み込めないような自然のなかでアクティビティを楽しむためのアイテムになるという。

 このROVには1リッター3気筒の内燃エンジンが搭載されているが、 それがなんと気体水素で稼働するよう改造されているのだ。ミライに搭載されているのと同じ構造で小型水素燃料タンクを搭載し、フル充填で約30分間の走行が可能だという。

レクサスROVの水素タンク

 エンジンを始動すると、それはガソリンエンジンと同じサウンドが発され、しかし排出される排気ガスは水蒸気のみといった環境に極めて優しいエンジンとして仕立てられている。厳密に言えば、大気を燃やすので水蒸気だけでなく一酸化炭素やNoX(窒素酸化物)なども微量が含まれるが、 少なくとも環境には十分に優しい。

レクサスROVのオフロード走行シーン

 また、ショックアブソーバーに使用するオイルにも、たとえば地面にこぼれ落ちても自然と土に戻るような自然由来のものが使用されている。ボディパーツや外装パネルもしかりなのである。

 レクサスのRVOは自然と調和しながら自然を楽しむことが理に叶って行えるということで、新しいモビリティのアクティビティツールとして大いに魅力を感じさせてくれるのである。

GXはオフロードでもレクサスクオリティだった


中谷明彦 NAKAYA AKIHIKO

レーシングドライバー/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

中谷明彦
愛車
マツダCX-5 AWD
趣味
海外巡り
好きな有名人
クリント・イーストウッド、ニキ・ラウダ

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