チームトヨタとして一体となって推進するカーボンニュートラル
それでも高効率化だけでは当然、限度がある。今後求められるのは、電気そしてガスのカーボンニュートラル化だという。
電気については再生可能エネルギーの使用を進めていく。地域により異なる特性にあわせての推進となるが、すでに欧州、そしてブラジルでは再エネ100%を達成している。国内では田原工場に再エネ約20%の大型風力発電機5基が設置された。グローバルでの再エネ率は現在、20%だという。
そしてガスについては、現時点ではまだ決定的なアイディアはなく、水素、CO2をH2と結びつけるメタン化、下水汚泥から生成したバイオガスなどさまざまな可能性を、まさにマルチパスウェイで推進しているところだ。有力なのは水素。実際、元町工場のBEV用電池パックラインには水素バーナーが使われている。この技術を、塗装ラインの乾燥炉などにも応用すれば、こちらも一層のCO2削減が可能になる。
2030年には工場内で使われているガスの15%を水素に置き換えられるよう導入計画が進められている。これは現在の20倍近い量となる。
水素については、元町工場では水素フォークリフトが167台稼働していることにも触れておく。これはバイオガス由来のメタンから改質して取り出した水素を用いたものだ。
ただし、自動車工場ではいわゆる副生水素は出ないので、水素を別途調達する必要がある。よってこちらは水素社会化の進展がセットということで、中部圏水素利用協議会などとの連携で進められていくことになる。
CO2削減はトヨタだけで実現できるものではない。仕入先、サプライヤーなどとも一体になって推進していく必要がある。こうして記してきたとおり、トヨタだけでもその道程は相当に困難に思えるが、それもまた自動車生産を世界に流出させず、日本のモノづくりを今後も残していくために欠かせないことなのだ。