この記事をまとめると
■5代目カムリが販売されているときに「カムリグラシア」というモデルが追加された
■1992年から1996年まで販売されていたセプターの後継車種という位置付けであった
■5代目カムリが終売したタイミングでそのまま6代目カムリとして販売されていた
カムリの派生車「カムリグラシア」とは
カムリと言えばトヨタが誇るミドルクラスのセダンであり、近年では日本よりも海外、とくに北米地域で人気を集めるモデルだ。残念ながら日本国内向けのカムリは2023年12月を以て生産終了となり、後継車種 は登場しない予定となっている。
そんなカムリは現行型で10代目と長い歴史を誇っているのだが、1996年12月に突如「カムリグラシア」なるモデルが登場したのである。当時は1994年に登場した5代目カムリが絶賛販売中のタイミングであり、そのモデルと併売される形となったのだが、果たしてこのカムリグラシアとはどんな車両だったのだろうか?
スペイン語で「優美」や「魅力」という意味を持つグラシアという名前が付けられたカムリグラシアは、簡単に言ってしまうと1992年から1996年まで販売されていたセプターの実質的な後継車種として投入されたもの。
セプター時代にはセダンとステーションワゴン、そしてクーペの3タイプのボディがラインアップされていたが、クーペは日本では不振を極めたため、カムリグラシアはセダンとステーションワゴンのふたつのボディタイプでリリースされている。
では、なぜカムリの名前を冠しているのかというと、なにを隠そうカムリグラシアは、北米地域向けにカムリとして販売されているものを日本向けに仕立て直したものだったのだ。
ちなみにカムリグラシアの実質的な先代モデルであるセプターも元々は北米地域向けのカムリを日本仕様にしたものであり、トヨタはこの頃から同じ車名のクルマでも地域の需要に合わせて作り分けていたということになる。
そのため、日本向けの5代目カムリは5ナンバーサイズのボディに1.8~2リッター(ディーゼルは2.2リッター)という排気量のエンジンを搭載し、日本のユーザーに合わせた仕様となっていたのに対し、カムリグラシアはゆったりとした3ナンバーサイズのボディに2.2リッターと2.5リッターV6エンジンを搭載するなど、明らかにアメリカを感じさせる仕様となっていたのである。
その後、5代目カムリが1998年夏に終売となるとカムリ グラシアがその座を受け継ぐこととなり、1999年8月のマイナーチェンジでセダンを「カムリ」、ステーションワゴンを「カムリグラシア」とし、6代目カムリとして2001年まで販売が続けられた。