幻の「ロータス・タイプ66」を復活! 10台限定のバカッ速レーシングカーが一瞬で売り切れた (2/2ページ)

姿形は1970年代なれどパフォーマンスは現代レベル

 ミッドに搭載されるエンジンも、じつに魅力的なスペックだ。吸気効率を最適化するために、いわゆる独立型のインダクション「トランペット」を装備するほか、アルミニウム製のピストンやコンロッド、クランクなどを採用したV型8気筒プッシュロッド。排気量は明らかにされていないが、ターゲットとする最高出力は830馬力/8800rpm、最大トルクは746Nm/7400rpmであると発表されている。組み合わせられるミッションはリバースギヤ付きのシーケンシャル方式となる。

 レッド、ホワイト、ゴールドと、かつてのロータスを彷彿させるカラーに塗り分けられたタイプ66のボディは、もちろん軽量なカーボン素材で成型されたもの。その内側には前で触れたパワーユニットのほかに、現代のドライバーがそれを操るために必要十分な新機構が包み込まれている。

 近代化されたコクピットまわりのデザインやアンチストール・システム、インボード燃料電池などは、その象徴的な例。

 その企画から半世紀以上の時を経て、現実のものとなったタイプ66は、単なるレプリカではない高度なレーシング・エンジニアリングを秘めたモデルなのだ。

 注目の価格はジャスト100万ポンド。邦貨にすればそれは約1億8500万円という数字になるが、それでも10台のタイプ66は一瞬でソールドアウト、いやすでにその状態にあることは十分に想像できる。

 ロータスによれば、ラグナセカやシルバーストーン、富士、スパ・フランコルシャンなどのサーキットでのテストでは、最新のGT3マシンにも匹敵するパフォーマンスを披露したというタイプ66。

 そのステアリングを自由に握ることができる10人のカスタマーは、1日も早いデリバリーの日を待ち望んでいることだろう。それはロータスならではの、伝統と革新を同時に感じることができる、じつにユニークなプロジェクトだ。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
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