世界的に見てもFF化が進んでいる
海外ブランドでSUVイメージが強いといえば、アメリカ生まれの「ジープ」、イギリス発祥の「ランドローバー/レンジローバー」が思い浮かぶ。
ランドローバー/レンジローバーについては、プラグインハイブリッドを数多く展開するなど電動化に積極的なことで知られているが、現行ラインアップにおいては、全車が4WDとなっているのはさすがといったところだ。
一方、ステランティスの一員であるジープについては、旧来のジープらしい設計となるラングラーやグランドチェロキーは全車4WDの設定となっているが、ステランティス傘下の他ブランドが持つリソースを活かしたレネゲードやコンパスといった小さめのモデルにおいては、2WD(前輪駆動)を設定している。
全体の傾向としては、高価な製品ラインアップにできるランドローバー/レンジローバーを除くと、とくに手ごろな価格を求められるモデル群について、各ブランドが2WDを設定していることがわかる。
そのなかでも将来トレンドを考える上で注目したいのは、三菱の軽EVがいずれも2WDである点だ。フロア下にバッテリーを敷き詰める設計のEVにおいて、4WDにするにはモーターを前後に置く必要がある。それは安価なクルマになるほど、コスト的に実現が難しいといえる。
ハイパワーEVにおいては前後に巨大な駆動モーターを置くという設計は当たり前といえ、電動化時代には4WDが増えるという見方もあるが、アフォーダブルな価格帯のEVについては4WDを設定することはコスト的に考えづらいという未来になっていきそうだ。
ただし、電動パワートレインは駆動力をかなり緻密にコントロールできるため、スリッピーな雪道などでも安定して走ることができるというのも知られている。安価なEVに4WDの設定が難しいからといって走破性で劣ると考えてしまうのも早計といえよう。