この記事をまとめると
■大学の自動車部で「部車」として使われがちな人気車種を紹介
■小さいボディサイズで比較的パワフルなクルマが好まれる
■1台でダートラからジムカーナまでをカバーできる万能さも人気になる要因
名車が最前線で活躍中!?
学生のクルマ好きが多く集まるコミュニティが自動車部だ。多くの自動車部員たちは学生の限られた資金源のなかでカーライフを楽しんでいる。そんな厳しい条件ながらカーライフを楽しんでいる自動車部員たちはどんなクルマを選ぶことが多いのだろうか? フォーミュラジムカーナの取材を始め、さまざまな現場で得たコミュニケーションからピックアップしてみた。
インテグラタイプR(DC2)
今や高価になってしまったが、自動車部と初代インテグラタイプRは切っても切り離せない関係にある。というのも排気量を中心とした学連のレギュレーションの関係が理由で、1.8リッター自然吸気で200馬力というハイパワーを絞り出すインテグラタイプRが最善の選択となっているからだ。ただ、車両が高価になっていることもあり、近年はレギュレーションを見直す兆しもあるとのこと。
中古車市場では高価なインテグラタイプRだが、他大学を交えた自動車部というコミュニティでは部活所有の車両、個人車両どちらも市場より安くクルマが流通している。そのため、インテグラタイプRはボロボロの状態で自動車部間を流通し続けていることもある。このクルマは自動車部を象徴する1台なのだ。
NBロードスター
FFが増えてきているが、「走りはFRだ!」と思うクルマ好きは多いはず。それは自動車部員たちも同じだ。しかし、FRが希少な存在となっているため、中古相場も全体的に高くなっている。そんなFRのなかでも求めやすい存在がNBロードスターだ。FRを求める自動車部員にとってありがたい存在だと言える。
NBロードスターがありがたいのは購入金額だけではない、タイヤも15インチでOKだし、NAロードスターと共通パーツも多いため中古パーツも豊富だ。買うのもイジるのも、維持するのも比較的ハードルが高くないのが嬉しい。
ただ、NBロードスターも古くなってきているのと、中古相場が上がってきているため状態と価格のバランスを考えてNCロードスターに注目する自動車部員たちもいる。
スイフトスポーツ
現行型ZC33Sも「コストパフォーマンス抜群!」と話題にされることが多いスイフトスポーツだが、HT81Sから始まるNAの歴代スイフトスポーツたちもそのコストパフォーマンスの高さから自動車部員たちに愛されている1台だ。そのなかでもここ数年で自動車部員の保有率が高いと感じるのが2代目ZC31Sだ。
リーズナブルな価格で購入することが可能でありながら、スポーティーな走りを楽しむことが可能なのはもちろん、定番車種でありパーツが豊富なのと純正パーツが高価でないのが人気の理由と言えるだろう。また、5ドアハッチバックで実用性が高いのもポイントだ。友人や荷物(主にタイヤ)を乗せるのにこのパッケージは非常にありがたいことだろう。
ヴィッツ
ワンメイクレースや入門カテゴリーのラリーなど、参加型モータースポーツで活躍してきたヴィッツ。参加型モータースポーツを支えるマシンというのは、その特性上自動車部員たちにも必然的に愛されることとなる。
車重が軽量であり、モータースポーツで活用されてきたクルマであるためパーツ供給が豊富なのも自動車部員たちに愛される理由だが、ヴィッツの場合は各種モータースポーツで使用されたあとの個体が出回ってくることが大きなポイントだ。ロールバーや4点以上のシートベルトなど、本格的な競技にトライするにあたり必要な装備が既に装着されている個体、いわゆる「デキ車」が出回ることがほかの車種より多い傾向にある。どれも自身であとから装着しようとすると高額になってしまう。モータースポーツに必要な装備が装着されている個体が多いヴィッツはありがたい存在なのだ。
アルト
ココまで読めば気づいた人も多いと思うが、自動車部員たちにとって『お金がかからない』というのは重要なポイントなのだ。そしてお金がかからないクルマと言えば軽自動車だ。軽自動車を個人車や部車とする自動車部員たちは多い。そんな中でも人気が高いのがアルト(特に5代目)だ。
軽自動車の維持費が安いことは周知の事実だが、アルトの場合、4ナンバーのアルトバンもラインアップされているため、税金をさらに安く済ませることが可能だ。更に、アルトワークスを始めとした純正流用チューニングでバージョンアップをリーズナブルに実現することが可能なのも大きなポイントと言える。軽自動車を用いた競技でアルトが人気なのも、こういった背景があるからなのだ。
自動車部員たちに愛されることが多い車種をピックアップして紹介したが、今回紹介した車種ばかりという訳ではない。フォーミュラジムカーナの現場では多くの車種を見ることができた。それは、安さだけでクルマを選んでいる訳ではなく、さまざまな工夫をして学生たちがこだわりのクルマ選びをしているという表れだろう。自動車部は想像以上にディープな世界なのだ。