「レバーに手を置く」「クラッチに足を置く」「飛ばしシフト」がMTを傷めるってホント? クルマ好きが語る「噂話」の真相を探った (2/2ページ)

長持ちさせたいなら変な操作をしないことが1番

前進中にR(後退)に入れるのは危険!?

「え? ふつうは走行中にバックギヤに入れるなんてやらないよね?」というご意見もごもっともですが、あまりに急いでいてとっ散らかってしまい、5速の先の「幻の6速=バックギヤ」に入れてしまうこともある……かもしれませんし、通常の操作の範囲でも方向転換の切り返しのときなど注意が必要です。少し前進してすぐ後退、というシチュエーションで操作を雑に行った際、まだ車体が前進を残した状態でバックギヤに入れてしまう、というケースは十分あると思います。

 じつはほとんどのミッションでは、バックは高回転の高出力状態で使用することはほとんど無いため、ギヤが薄く設計されているものが多いのです。つまり、過度な負荷がかかってしまうと破損に繋がりやすいと言えます。

 高速走行中の場合はシンクロ機構が盛大に「ガガガッ」と悲鳴を上げるので、慌てて戻して大事に至らない場合がほとんどだと思いますが、切り返しなどの低速ではガッチリギヤが噛んでしまうので負担は大きいようです。実際、バックギヤの破損の多くは低速時に起きていると聞きます。

 ちなみに某・峠ドリフトマンガで有名な「トヨタAE86」はバックギヤにシンクロ機構がなく、ギヤ歯もペラペラで破損が多いので、一部では「ガラスのバックギヤ」と呼ばれることもあるとか。

 これを防止するには、なんと言っても落ち着いて操作することでしょう。「バックに入れるときは完全に止まってから」と自身に念押ししておけば安心です。

飛ばしシフト(ギヤ)ってやってもOK?

 飛ばしシフトと聞くと、その言葉の響きや意味合いから、かなり乱暴(大胆)な操作という印象もありますが、要するに1速1速きちっとシフトしていくのではなく、状況に応じて1速ないし2速を抜かしてシフトすることを言います。

 加減速の激しいサーキット走行では当たり前に行われている方法です。しかし、一般道ではそれほど必要性を感じたことはありません。高速で巡航中に追い越しを行う際、5→3と1速飛ばす程度ではないでしょうか。

 そして、この飛ばしシフトについてはとくにデメリットはないと思います。強いて言うなら、普段は行わない“コの字”を描くようなシフト操作をするため、素早く行おうとしたときに「グリッ」とシフト機構をこじってしまうのは気をつけたほうが良いでしょう。一度ニュートラルで半拍置くように意識してゆっくり操作すれば確実です。

おわりに

 MTのタブーとされている代表的な4つの“定説”について検証してみましたが、結局のところ、長くトラブル無く使い続けたいと思うなら、操作にも愛情を込めてしっかり確実に行うようにするのがいちばんだということですね。とは言っても急いでいたり疲れていたりすることもあると思いますので、そんなときも雑な操作にならないように普段からクセを付けておくことをオススメします。


往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

愛車
スズキ・ジムニー(SJ30)※レストア中
趣味
釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
好きな有名人
猪木 寛至(アントニオ猪木)/空海/マイケルジャクソン

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