「ハイエースかそれ以外か」ぐらいの絶対的エース! なんでそんなに支持されるのか歴代モデルを振り返ってみた (2/2ページ)

3代目からはいまっぽい雰囲気のキャラクターに

 いよいよハイエースらしいルックスとなったのが、1982年12月に登場した3代目。ベーシックなバンモデルについては2代目に引き続き丸目ヘッドライトを採用していたが、上級グレードでは角目4灯タイプとなった。ワゴンの最上級グレードにはサンルーフが装備されるなど、現代でいうところのLLクラスミニバン市場のニーズもカバーするモデルへと進化していったのも印象深い。

 標準ボディの全長は4425mm、ロングボディは4690mm。エンジンは1.8リッター/2リッターガソリンと2.2リッターディーゼルをラインアップしていた。ワゴンについてはリヤサスペンションをコイルスプリング式にするなど、乗り心地を十分に考慮していたことも、この代では見逃せない進化ポイントだ。

 ハイエースの絶対的ポジションを完全に確立したのは、1989年8月にフルモデルチェンジした4代目だろう。ワゴン、バンともに異形ヘッドライトを採用したスタイルは、当時の1BOXとしては画期的といえるほど最新モードで、車名の由来そのままに高級志向を体現するものだった。

 搭載エンジンのラインアップは、2リッター/2.4リッターガソリン、2.8リッターディーゼルというものだったが、いずれも丈夫なユニットとして知られるもの。とくにディーゼルについては「10万kmを超えてから本領発揮する」と、まことしやかに語られたほど超耐久仕様に仕上げられていた。

 ボディについても頑丈で、この当時のライバルモデルでは、長く使っているスライドドアのレールが歪んでしまい、ドアの開閉が重くなるといった不満を持つオーナーもいたというが、ハイエースについてはそうしたネガを耳にすることはほとんどなかった。基本的な使い勝手の良さに加えて、エンジンやボディのタフネスについては圧倒的。冒頭で記した「ハイエースか、それ以外か」という状況を決定づけたのは4代目の高い信頼性だったといえる。

 現行型となる5代目ハイエースは2004年8月に生まれている。4代目で築き上げた圧倒的ブランド力と期待に応える完成度となっていたのは、ご存じのとおり。結果として、20年近くたったいまも、基本設計はそのままに人気が衰えることなく、売れに売れている。

 ロングセラーとなっている理由のひとつには日本の国内事情がある。グローバルには衝突安全性を考慮したセミキャブオーバースタイルが主流となっているが、日本の国内市場では4ナンバーサイズで無駄のないパッケージを実現できるキャブオーバースタイルを求めるユーザーが大多数である。そうした国内ニーズに応えるきめ細かなグレード構成もまた、ハイエースが絶対的な支持を集めている理由といえるだろう。

 なお、最新のハイエースのパワートレインは、2リッター/2.7リッターガソリンエンジンと2.8リッターディーゼルとなっている。いずれも6速ATを組み合わせている点も見逃せない。


山本晋也 SHINYA YAMAMOTO

自動車コラムニスト

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