精度が高く実際の作業性にも差が出る
長年、旧車をいじり続け、もはや足らない工具はないと自負するワタクシの意見ではあるが、まず精度が違う。頭10mmのボルトを緩めるなら、10mmのレンチならどれでもハマるが、実際は微妙に違いがあって、安いものはガタがあるし、高いものはキッチリとはまる。キッチリとはまるということは的確に力がかかるし、ボルトにキズを付けにくく、固着している場合は舐めにくいとも言える。スナップオンはネジに吸い付くようだと評されるが、これは精度の高さゆえだ。
そして精度だけでなく、当然使っている素材も違ってきて、高くていいものを使うのがブランドで、さらに熱処理などの独自技術で仕上げたりする。たとえば硬いネジに負けない性能が確保できて確実な作業を可能にするし、耐久性も高い。細かいことを言えば、いい素材を使えばそれだけ軽量にできるし、サイズも小さくできる。たとえばレンチだと薄くできるので、狭いところでの作業性は上がる。一方、安い工具は分厚かったり、大きかったり。作りも甘くて、作業上不安になることもあったりする。なかにはレンチのほうが舐めてしまうことも。素人でもこれなので、プロならなおさらだろう。
もちろん見た目も違う。さらに表面処理もきれいで、スカッとしたメッキ処理などは惚れ惚れするほど。デザインも同様で、お国柄が出たり、ブランドごとにイメージカラーがあったりして、特定のブランドにこだわって集める楽しさがあるのもわかる気がする。
ただし、安い工具はダメかというとそんなことはない。たまに軽い作業をする程度なら別に高い工具は必要なくて、激安セットでも十分。耐久性がないと言っても、そもそもたまにしか使わないので関係ないし、信頼性もハードな作業ではないので同様。緊急工具として考えれば十分だ。その際はセットを買ってもいいし、使う工具は特定のサイズのレンチとドライバー。あとはニッパー程度だったりするので、個別で買い揃えて100均のケースにでも入れておけばいいだろう。