新車の販売の裏には高度な情報戦が繰り広げられている
それほど“個人情報”というものが重視されていなかったころの話では、ディーラーで下取り査定をする際に、当該車両の車検証に業界人でしかわからない“マーキング”をセールススタッフがしていたとも聞いたことがある。
下取り査定時には車検証の内容を転記する必要があるので、その際に何かしらのマーキングをしておくと、次に下取り査定を行うディーラーのセールススタッフは「このお客はほかの店でも検討しているな」とわかったというのである。
筆者は下取り査定をお願いする時には、意図的にライバルディーラーの書類袋に入ったカタログなどをわかりやすく車内に置いておき、逆に「ほかも見ていますよ」とセールススタッフにプレッシャーをかけるのも有効などとアドバイスしていたこともある。
レクサスディーラーではディーラー敷地内に入るときにナンバープレートで識別しているようだが、その店で販売した車両か否か、そして誰が販売した車両なのかを識別することで、担当セールススタッフがお出迎えするようなシステムを採用しているという話を聞いたことがあり、実際、トヨタブランド車で某レクサス店を訪れたときにはそのようなシステムがあるのだなと感じた。
用事が済んでディーラーをあとにするときに見送りされることもよくあること。交通量のかなり多いバイパス沿いの店舗では、店舗によっては誘導による事故発生リスクを考慮してあえて見送りをしないところもあるようだが、たいていの店舗では行っている。
そのとき、見えなくなるまでセールススタッフが見送っているときがあるが、これも意味を持っていることもあるようだ。さまざまなメーカー系ディーラーが道沿いに集まる“ディーラー街”では、次にどこかの店に入るかもしれないなど、店を出たあとの動きを確認していることもあるようだ。
ちなみに、筆者は客を装ってディーラーを訪れて情報収集することがあるのだが、あるディーラーでは、“怪しい”と思われたようでディーラーを出たあとしばらく尾行された経験がある(途中でまいた)。