この記事をまとめると
■中谷明彦さんがメルセデス・ベンツEQE SUVに試乗
■4WSによる大柄ボディを感じさせない取り回しのよさが特徴
■ガソリンエンジン換算で33km/L相当の電費性能は魅力的
ユーティリティと空力特性を向上させる最新装備を全部載せ
EVモデルのラインアップ拡充を進めるメルセデスが、新たにEQE SUVを登場させた。その試乗会に参加してきたのでリポートしよう。
ニューモデルはEQE 350 4MATIC SUVというネーミングで、その特徴はEV専用のプラットフォームを採用していること。また、最小回転半径4.8mという国産コンパクトカー並みの最初回転半径と、89kWhの大容量のリチウムイオンバッテリーを搭載し、WLTCモードで一充電走行距離528kmの走行を可能としてるところである。
ボディのディメンションは、全長4880mm、全幅は2030mmで、これはEQE 350+セダンよりも全長は短いが、全幅としては大きくなっている。また、より大きなEQS 450 4MATIC SUVに対しては、ひとまわり小さなディメンションとなっているが、ホイールベースは3030mmとなっていて、これはガソリンエンジンを搭載するGLE 400 dと比べても、より大きな数値となっている。 このホイールベース内のフロア下には89kWhのリチウムイオンバッテリーが配置されているわけだ。
最小回転半径4.8mはリヤ操舵システムによって実現したもの。EQSは5.1m、EQEセダンは4.9mとなっており、同じリヤ操舵角逆相最大10度でありながら、これら2台よりもさらに小さな4.8mを実現しているというところは驚くべきで、取りまわし性の良さをうかがえるところでもある。
今回、空力的なフォルムが洗練され、Cd値は0.25というSUVとしては極めて小さな数値に抑えられた。これは、ボディ全面の細かな処理、とくにフロントグリルやバンパー、各パネルの接合部やドアミラーの配置、さらにシームレスドアハンドルやリヤスポイラー、リヤバンパー、アルミホイールのデザインに至るまで、 細部に渡り空力特性を洗練させた結果と言える。
また、車体床下の処理も非常にフラットにされていて、フロントエンドからリヤエンドに至るまで、ほとんどすべての部分がカバーリングされている。 リヤサスペンションアームにもトリムパネルと呼ばれるカバーがなされていて、空気の流れをコントロールしているのも特徴的である。
さらに、プロダクト的なハイライトとしては、効率の向上を高めるためにヒートポンプ式のエアコンを採用していたり、フロントアクスルにディスコネクトユニットという新機構を搭載していることも注目に値する。このディスコネクトユニットは、フロントモーターのドライブトレインに搭載されるもので、デファレンシャルから左右に伸びるドライブシャフトの片側に位置し、状況に応じて駆動輪を切り離すという作動を行っている。
これにより走行抵抗を減らすことが可能で、モーターが駆動するときには瞬時に前輪両輪を駆動することはもちろんだが、 回生時もコネクトするし、コースティングなど不要なときはディスコネクト(切り離す)するという、すべてがオートマチックに行われる仕組みとなっている。メルセデスは、今後のEQシリーズで、フロントモーターを採用する四輪駆動モデルには順次このシステムを導入していく考えだという。