市街地も高速道路もEQE SUVの動力性能に不満なし
では走らせてみよう。室内は非常にデザイン的に洗練されていて、最近のメルセデスEQシリーズの流れを汲むもので、大画面ディスプレイやメーターパネルにも見慣れてきた感がある。ディスプレイはタッチパネル方式でさまざまなインフォテイメンツが表示され、操作性、使い勝手も良い。
スタートスイッチボタンで起動し、シフトレバー、ステアリングホイール右側のシフトレバーをDレンジに操作すれば発進可能となる。これはガソリンエンジンモデルとも同様の操作でガソリンエンジンモデルから乗り換えても違和感なく使いこなせることだろう。
走り始めると非常にスムースであるのはもちろんだが、しっかりとしたボディ剛性に支えられた安心感に包まれる感じがある。路面の段差などを乗り越えると、若干内装などのきしみ音が発生するのが聞こえるが、それもEVならではの静かな走行性能のための結果だと言えなくもない。
基本的には四輪駆動でありながら、主に後輪のモーターで駆動し、必要に応じて前輪モーターが駆動する。また、ブレーキングや回生時などは前輪がコネクトされ回生力を強め、より効率のよい回生を可能としている。この回生強度はステアリングの左右に装着されたパドルで行うことができ、Dオートというモードを選択すると、前走車の走行ペースに合わせて理想的な回生が自動で制御される。市街地においての使い勝手のいいモードと言えるだろう。
また、ワンペダルによる強力な回生モードも備わっており、 まったく回生を行わないコースティングが可能なモードもあって、さまざまな走行シーンに応じた回生パターンを選択できるのも特徴だ。
走行性能に関するドライブモードには「エコ」「コンフォート」「スポーツ」「オフロード」の4つが備わっていて、 さらに個人の好みのモードに設定する「インディビデュアル」モードも選択可能である。四輪駆動ゆえ、オフロードなどの走破性も高く、そういった場面においては、より細かな 駆動力制御を可能としていると言えるだろう。
市街地を走り抜群の取りまわし性の良さを確認。高速道路に歩み入れるとEVらしいトルクピックアップ特性を発揮。自由自在に車速コントロールができ、有用な動力性能を発揮した。
電費は都内の試乗コースにおいては5km/kWhほど。85kWhの電力を使い切れば425kmを走破できる計算だ。
ちなみにEQE SUVは、チャデモに対応する急速充電が可能なばかりでなく、自宅での200V普通充電にも対応。普通充電を使用すると、東京電力の30円/kWhという電気代の場合、約2550円で満充電にすることができる。これで400km以上走るならハイオクガソリン(約200円!)に換算すると、リッター当たり約33km走行できることになり、相当に経済的だ。
さらにV2HやV2Lも備わるようになり、国や自治体の補助金も受けられる。所有環境によってはEQE SUVはかなり魅力的な選択肢となり得るのだ。