建て替えると整備工場が併設できない! 移転すればお客が逃げる! 老朽化した「新車ディーラー」を待ち受ける苦難 (2/2ページ)

今後の新車販売はオンラインが主力になる可能性も高い

 ただ、移転せざるをえないケースもある。そもそもはまわりに住宅も少ないなか開業した古い店舗となると、店舗が老朽化したから建て直そうとしたときに住宅密集地になっていたりすると、法令により建て替えをしようとすると整備工場が併設できなくなるケースがほとんどなっており、そのため移転を余儀なくされてしまうのである。

 トヨタや日産系ディーラーでは店舗拡充をはじめた時期が早かったので、古いながらも市街地に店舗が多めに存在している。こうなってくると、市街地にある数少ない新車ディーラーとして前述したご近所客を集客することができるので、とくにトヨタは車種も多く持つので新車販売で強みを見せるひとつの要因と考えることもできる。

 しかし、発想を変えれば、新規移転により移転先での新規顧客開拓も可能なので悪いことばかりではないともいえる。ただ、訪問活動やチラシ配りなど、昭和のころほど販売担当地域をまわることはないので、販売担当地域の特性などが把握しにくい販売体制にもなっている。結果、市街地の老舗店舗ほどご近所客をどれほどつなぎとめておけるかは未知数ともいえるだろう。

 新車販売の世界は、基本的な部分では1980年代のフォーマットのままとなっている。また、世の中の変化から、若い人以外でもセールススタッフとの駆け引きを苦手とし、嫌がる傾向もある。これはアメリカでも同じで、セールススタッフの売り込みが新車購入の最大の障壁とする声も大きい。

 世の中のトレンド、新車販売業界のマンパワー不足などを考えれば、いますぐではなくても、オンライン販売というものが、今後ますます注目されてくるのは間違いない。そのなかで店舗を新しくしていくのは、費用対効果を考えるとなかなか判断が難しいようにも見えてくる。販売体制が変わっても、車検制度などは大きく変わらないだろうから、ディーラーは、今後サービスステーションとしての位置づけ強化という観点で、新たな店舗整備が行われていくようにも見える。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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