この記事をまとめると
■運転者が情報判断を素早くできるように最近は一般道で舗装路の色分けがなされている
■もっとも多いのは茶褐色の舗装で進路や交差点の明確化などさまざまに活用されている
■欧米のようにクルマをよどみなく流すことを主眼とした道路作りが浸透してほしい
道路を塗り分けることで事故の予防につながる
舗装路の色分けが増えているようだ。理由は、運転者に注意をより喚起し、情報判断を素早く行わせようとする配慮であろうと思われる。
たとえば、分かれ道で行く先によって色分けすることにより、向かう方面を間違えないようにする例がある。進路を間違えたと気づいて、急ハンドルで進路を変えるなどの事故の予防につながる効果があるだろう。また、色を守って走れば、進路に間違いないという安心感を運転者に与える。
舗装の色分けは多種に渡るが、多いのは茶褐色ではないだろうか。アスファルト舗装する際の混合物に顔料を加えている。
ほかに、赤、青、緑、茶、黄、白なども可能で、脱色バインダーと呼ばれる石油樹脂を使うことで、色鮮やかな舗装にすることができる。
より簡易に色づけする方法として、色のついた樹脂を塗布したり吹き付けたりする場合もある。この場合は色の種類はさらに増え、同様の色でも濃淡をつけることもできるようだ。
カラー舗装は、進路を明確にする以外にも、交差点の明確化、バスレーンやタクシーレーンの明示、駐車場、展示会場、公園、歩道、サービスエリアやETCレーンなど、さまざまに活用されている。
急カーブなど、運転者に注意を促す場合は赤系統が使われ、自転車道は青、車道と歩道の区分けのための歩道側は緑などが使われている例があるが、目的にそった色の指定はとくになさそうだ。
一方で、看板式の標識は、昔から規制や進路を運転者に示す案内であり、それらが見えにくかったり、わかりにくかったりするため、道路の色を変えることで補足しているともいえる。
しかし、情報の発信が多岐に渡れば、どちらかの情報を見落とす可能性も出てくるので、良し悪しともいえるのではないか。
欧米では、クルマで移動しやすい案内の表示が浸透している。それに比べ、日本は道路看板ひとつをとっても文字が多すぎるなど、一瞬にして必要な情報を入手・判断しづらく、たとえば高速道路上の案内看板は、それを読むために運転者が速度を落とし、そのことが原因で渋滞になるといったことも珍しくない。
背景にあるのは、日本の道路管理者が道路の規格などによって異なり、あるいは県をまたいで移動すると案内の表現が変わるなど、日本全国で一般公道も高速道路も含めた統一感が希薄なのも要因ではないだろうか。
欧米は、クルマをよどみなく流すことに主眼が置かれているが、日本はクルマの移動を規制する視点で交通が管理されるからではないかと思う。ほかに、人口密度が日本は高く、住所や番地の明記が複雑であることも、道を案内しにくくしているかもしれない。
カラー舗装しなくても、クルマが順調に走り、また歩行者や自転車などと不安なく一緒に移動できる道路や標識づくりといった視点が求められるのではないか。