この記事をまとめると
■ランドクルーザーとジムニーは納期が一向に短縮しない
■舗装路向けのSUVが増えており、原点回帰の傾向もあってこれらのモデルが人気だ
■ランクルは海外で依然として人気が高く、ジムニーは生産ライン増強が難しい実情がある
四駆の2大巨頭「ランドクルーザー」「ジムニー」の納期が長い謎
いまはさまざまな車種の納期が延びているが、カテゴリーで見るとSUVが目立つ。SUVは国内と海外の両市場で人気を集め、購入を希望するユーザーも多い。そのために納期も全般的に長くなった。
その代表がランドクルーザーとジムニーだ。
両車ともエンジンを縦向きに搭載して、後輪駆動ベースの4WDを備えた悪路向けのSUVになる。副変速機も採用され、悪路を走るときには駆動力を増強できる。
最近はハリアーやヤリスクロスのような乗用車のプラットフォームを使った舗装路向けのSUVが増えているせいもあってか、原点回帰の傾向も見られる。そこでランドクルーザーやジムニーが注目を集めているというわけだ。三菱は悪路向けの4WDに含まれるピックアップトラックのトライトンを復活させ、輸入車では伝統的なジープ・ラングラーが売れ行きを増やした。このような市場動向もあり、ランドクルーザーやジムニーは納期を延ばしていると考えられる。
現行ランドクルーザーは2021年8月に発売され、その直後から納期が延びた。当時、販売店からは「ランドクルーザーの納期は4年から5年とされるが、正確にはわからない。受注したお客様には、生産日程がわかった段階でご連絡する」という話が聞かれた。そしていまは受注を停止している。アルファードやヴェルファイアと違って、定額制カーリースのKINTOでも取り扱っていない。
現行ランドクルーザーが大幅な納期遅延に陥った背景には、コロナ禍による半導体などの供給不足もあるが、それだけではない。発売直後に開発者に尋ねると以下のように返答された。
「ランドクルーザーは中東諸国で人気が高く、販売比率は生産総数の半数に達する。さらにオーストラリアでも需要が多い。そうなると日本国内に割り当てられる販売比率は10%以下になり、納期も延びる」
つまり、ランドクルーザーが納期を遅延させた背景には、世界的に人気が高く、しかも日本の販売枠が少なかったことが影響した。おそらくコロナ禍がなくても、ランドクルーザーの納期は延びただろう。