EV先進国のアメリカ人も本音は「エンジンがお好き」! デトロイトショーの「V8エンジン車」に群がる来場者 (2/2ページ)

アメリカではまだまだ内燃機関のほうが人気な様子

 それもそのはず、かつての勢いはないとはいえ、自動車の街とも言えるデトロイトとその周辺にある、アメリカンブランドの生産工場でストライキに入れば、地元経済は大打撃を受けることになる。ストライキに入った場合の地元経済の損失ははかり知れないので、地元メディアはオートショーどころではなくなるのは理解できる。

 ただ、UAWサイドの賃上げ要求は「40%アップ」という破格のものとなっており、仮に要求が通った場合は、アメリカンブランド車の価格アップは避けられないということで、ストライキになかどうかに関係なく厳しい現実が待っているとの声も聞かれた。

 2日目の14日は業界招待日となっており、この日ばかりは大手を振って会場内にあるライバル車を思い切り計測するなどチェックできる日であり、そして15日午前0時がストライキ突入へのデッドラインであった。午後11時は各テレビ局でニュースが放映されるのだが、すでに突入確実としたかのように、カウントダウンを行うテレビ局もあった。そして15日午前0時、交渉は決裂しGM、フォード、ステランティスの各工場1カ所ずつがストライキに突入した。

 話を再びオートショーに戻すと、アメリカでもBEV(バッテリー電気自動車)の普及促進が行われているものの、主戦場はカリフォルニア州となっており、ほかの州でカリフォルニアばりにBEVが走りまわっていることはなく、もちろんデトロイトのあるミシガン州でも状況は同じである。会場には各アメリカンブランドブースではBEVが展示されているものの、来場者の興味は大排気量V8エンジンを中心としたICE(内燃機関)車となっていた。

 アメリカンブランドが今回のショー発表に用意した新型車もメインはICE車となっており、ある意味アメリカンブランドの“覚悟”というか、アメリカの消費者も含めた“本音”というものをショー会場で強く感じることができた。

 UAWは賃上げのほか、車両電動化による人員削減への危惧も示しており、主催者なのか出展者なのかは別として、そのようなUAWの動きに忖度した動きがあったのかもしれないとも考えた。

 ただし、会場の多くのスペースを割いて設けられた、複数ブランドのBEV試乗コーナーは盛況であり、好き嫌いや買う買わないは別として、デトロイト市及び周辺の消費者も、BEVへの興味が高いことも感じとることができた。

 今回のショーをひと言で表現するならば、BEV試乗コーナーがあったりもしたが結果的にその背景は別としても、「ICE車バンザイ!」ということになるだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報