この記事をまとめると
■国道には1〜100までの一級国道と101から始まる3桁の数字が割り振られた二級国道があった
■一級国道に相当する「59~100」は振り分けられていないため存在しない
■1965年に一級・二級の区別がなくなり一般国道と統合されたが、旧制度でつけられた番号はそのまま使用されている
1952年に制定された道路法に基づいて名付けられていた
「すべての道はローマに通ず」という有名な一文がある。いまから2000年以上前に栄えていたローマ帝国に、世界中の道がつながっていたと讃えられていたことから、目的を達成するための手段は複数あるということを意味することわざとして知られている。
ある意味、道路整備は国家権力の象徴という風に捉えることもできる。テレワークやメタバースなど物理的な移動を必要としない新しい生活も生まれてきているが、逆に新しい生活様式において、ネット通販やフードデリバリーが盛況となっているように、移動を無視して人間社会は成り立たない。
いずれにしても道を整備する道路行政は、国家において欠かせない事業といえる。体のなかに張り巡らされた血管のようなものだ。そんな道路行政の基本となるのが国道といえるだろう。なかでも主要な国道は、前述した血管にたとえて「大動脈」と表現されることがある。
国道には番号が付与されているが、古くからのクルマユーザーのなかでは、東京と大阪を結ぶ国道1号に代表される「一桁国道」を特別視する傾向もあるかもしれない。
ちなみに国道2号は大阪と福岡を結ぶもので、山陰地方を通って京都から山口をつなぐ国道9号までが「一桁国道」となっている。
さて、タイトルに書いたように、国家の礎となる国道には欠番というか、まとまって抜けている番号がある。具体的には「59から100」までの番号を付与された国道は存在してない。
その理由と背景を知るには、戦後間もない昭和27年にまで遡る必要がある。
1952年に制定された道路法では国道を、重要都市を結ぶ主要幹線道路となる「一級国道」と、それ以外の「二級国道」に分けていた。その際に、一級国道には1から100までの数字が割り振られ、二級国道は101から始まる三桁をつけるというルールが定められた。
その後、1965年に道路法は改正され、一級と二級の区別はなくなり、すべて一般国道として統合されたが、すでに付与した番号を変えることは合理的ではないため、旧制度でつけられた番号はそのまま使用されることとなった。
結果として、旧・一級国道は58番までしか存在しなかったため、国道の番号として59~100は欠番となっている。また、三桁国道においても、他の国道に統合されたことで欠番となっている道路もある。
ちなみに、二桁国道の最後の番号となっている58号というのは鹿児島から沖縄をつなぐ国道だが、ご想像のとおり、そのほとんどが海上であり、フェリー航路が国道に定められているという珍しい国道としても知られている。