伝統の「IAA」がミュンヘン開催へ! まさかの日本メーカー出展ゼロの衝撃!! (2/2ページ)

欧州では「EV=お金持ちのステータスシンボル」的なイメージ

 アメリカのなかでも環境問題に積極的なカリフォルニア州を走るBEVは圧倒的にテスラ車が多い。アメリカのメーカーであることや、独自の短時間充電などの理由もあるが、結局は現時点での選択肢はテスラしかないともいえるだろう。

 欧州メーカーもBEVに積極的とはいうものの、ラインアップしているのは高級ブランドばかりが目立つ。つまり、いわゆる西側諸国では、BEVは金持ちのステータスシンボル的なイメージで売れているように見える。

 しかし、アンタッチャブルに近かった欧州での大衆ブランドクラスのBEVとして、中国メーカーが欧州市場での販売を積極的に展開してきて大騒ぎになっているのはすでに多数報道されている。

 一方の新興国市場では“テスラ”の存在感はそもそも薄い。代わって目立っているのは韓国や中国のメーカーとなる。つまり、新車自体まだまだ高嶺の花に近いのだが、それでもアジア系メーカー主導での大衆ブランドBEVが普及を後押ししているのである。欧州では地球環境問題など漠然とした理由でBEVが普及しているが、新興国では深刻な大気汚染と原油輸入に使う外貨を抑えたいという現実的な狙いで、BEVに対し各国政府が注目しているようだ。

 もちろんBEV生産国としての覇権も握りたいようだが、同じように大気汚染や原油輸入という側面でBEVを普及させてきた中国と新興国のロジックが近いし、中国アレルギーも少ないので、より普及が目立っているようである。

 また、BEV単独でのビジネスという視点ではなく、「BEVもありますよ」として、それを苦手とする日本メーカーより先進性をアピールしようとしている側面もあるようだ。事実、インドネシアではその効果が出ているようで、首都ジャカルタ都市圏ではここのところヒョンデ車がよく売れるようになっている。中国メーカーもBEV一辺倒ではなくHEVやガソリンエンジン車もラインアップしている。

「BEVに将来はない」「BEVが次世代ではない」というのは正論かもしれない。そして、BEVの次の世代として水素燃料車が注目されているのも確かな話。ただし目の前では、BEVは先進性アピールなどのツールとして利用されている側面もある。日本では「正論を述べていればきっとわかってもらえる」という風潮が強いようにも見えるが、果たして「BEVは触らない」ともとれるスタンスを貫き通すことが結果的に正しいことなのか筆者は疑問にも思っている。現にIAA2023で日本メーカーが存在感を示せなかったということは多少なりともショッキングなトピックにも思えるのだが……。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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