この記事をまとめると
■経済性に優れて低速トルクが太いディーゼルエンジンにも「走りが楽しい」と思えるクルマがある
■ディーゼルが普及していた欧州にはスポーティなディーゼル車が豊富に用意されている
■手頃な価格で走りが楽しいディーゼルエンジン搭載の国産車としてはマツダ3がイチオシ
商用車のガラガラうるさいエンジンというイメージは昔の話
いまではクリーンなディーゼルエンジンを積むクルマは、軽油を使うことから経済性に優れ(エンジンはガソリンエンジンよりも高価だが)、トルクの太さによる走りやすさ、力強さのメリットがあり、ロングドライブや悪路走行にも適していることから、とくにSUVに向くエンジンだと思われがちだ。
マツダは国産自動車メーカーのなかでもクリーンディーゼルエンジンに熱心なことは知られるところで、主力モデルのCX-5やマツダ3を含め、多くの車種にクリーンディーゼルモデルを用意。CX-3はデビュー当初、XDと呼ばれるディーゼルモデルのみのラインアップだったほどだ(のちにガソリンエンジンも追加)。
さて、そんなディーゼルエンジンを積むモデルのなかで、「走りが楽しい」と思える、スポーティカー好みのユーザーに刺さるクルマはあるのだろうか。答えはYES。なにしろ、世界に名を轟かせる、歴史あるスポーツカーメーカーにも、クリーンディーゼルをパワーユニットとして採用している例は少なくない。
まずはイタリアのマセラティだ。往年の名車の名を冠したギブリには3リッターV6直噴ディーゼルターボ、275馬力、61.1kgmのモデルが存在した。最高速は250km/hと謳われるだけに、生粋のスポーツカーであり、とくにディーゼルターボならではの大トルクによるスポーツセダンとしてのパフォーマンスは一流だった。
流すような走りではエンジンはまったく主張しないが、スポーツモードにセットすると一変。マセラティらしいワイルドな轟音を楽しむことができたのだ。
ドイツ勢ではアルピナがある。BMWベースのエレガントにして超高性能をたたえるスーパーモデルだが、アルピナもスーパースポーツディーゼルを用意。たとえばD3 SはBMW3シリーズがベースのリムジンであり、3リッター直6ディーゼルターボ、335馬力730Nmを8速ATを介して4輪に伝える4WDだ。セダン、ワゴンのツーリングがあったのもユーザーの選択肢を広げてくれた。
ディーゼルターボであっても6気筒のシルキーでスポーティかつ精密感に満ちたアルピナ謹製エンジンならではのウルトラスムースなエンジンフィールはもう感動モノ。車内にいる限り、ガソリンエンジンとの区別が付かないエンジンサウンドも絶品だ。アルピナ、とくにツーリングを選ぶユーザーはロングドライブの機会も多いはずで、ハイオクガソリンとの価格差も嬉しいところ(WLTPモード燃費13.2km/L)。 現在はDS4、XD4、D5Sの3モデルが新車として用意されている。