どうせ乗るなら心が躍るクルマに乗りたい
次に、走りのクセが強いのは、フィアット500やフォルクスワーゲンup!や初代ルノー・トゥインゴなど有名なモデルがありますが、それに勝るとも劣らないのが初代スマートでしょう。スイスの時計メーカーであるスウォッチと、ダイムラー・ベンツとの協業によって、全長たった2.7mのマイクロボディにふたりのためのゆったりとしたシートを配置し、荷物スペースも最小限のシティコミューターとして、1997年に誕生したモデルです。
のちにさまざまなバリエーションが追加されるのですが、当初は0.6リッター直3ターボエンジンを搭載し、トランスミッションには「ソフタッチ」と呼ばれるシングルクラッチ6速ATを設定。レイアウトはRRで、最小回転半径は4.1mという小ささでした。しかし、2ペダルMTのソフタッチの制御は強烈で、何も知らずにアクセルを踏むとガックンガックンとすごいギクシャク感。軽いうえにRRなので、後ろから蹴り出されるような加速フィールもクセが強く、リアル”チョロQ”かとささやかれたものです。
でも、だんだん扱いに慣れてくると、最初がギクシャクしていたがためにクルマとの一体感の強さは格別。乗れば乗るほど親密になっていける感覚に、またハマってしまうかもしれません。
続いては、前代未聞の1台5役というクセが強いクルマ、シトロエンC3プルリエル。まず、通常の状態が4人乗りのサルーンで、そこからソフトトップを開ければ「パノラミックサルーン」になります。さらに、ソフトトップとサイドイウンドウを格納してサイドアーチだけにすれば「カブリオレ」、サイドアーチを取り外せば「スパイダー」にも変身するのです。
その日の気分によって、こんなに姿を変えられるクルマはほかにないですよね。1.6リッターエンジンは力強く、元気な走りでも楽しませてくれます。飽きっぽい人にも合うのではないでしょうか。
さて、最後は今回唯一の現行モデルで、こだわりが強すぎるモデルといえばニッサン・ノートオーラNISMOです。開発チームに聞くところによれば、公道のフォーミュラEをつくる、的な意気込みで徹底して仕上げられたというから、クセが強くないわけがないですよね。
ベースとなっているノートオーラは、ノートから出力やトルクを高めて100kW/300Nmとなっているのですが、ノートオーラNISMOはそこから出力特性を専用チューンして、加速度が速く立ち上がり、加速力が落ちにくいといった、ドライバーの欲求を満たすような刺激的な走りを目指したといいます。
ハンドリングも俊敏で、アルカンターラ巻きのステアリングやレカロシートなど、ドアを開ければクセ全開。家族がいるけどスポーツカーがあきらめられない人にも、満足度が高そうです。
ということで、少しくらい不便なところがあったって、燃費が少々悪くったって、どうせ乗るなら心が躍るクルマと一緒に過ごした方がいいですよね。勇気を出して、クセ強ワールドへ踏み出しましょう。