この記事をまとめると
■ホンダ車のフロントウィンドウの端には黒三角のマークが存在する
■この黒三角マークは特許取得済みで2008年の初代フリード以降の世界中のホンダ車に採用
■完全解明はされていないが運転に効果のあるマークだった
ホンダ車のガラスにだけ謎の三角マークが存在する
ホンダ車のフロントウィンドウには「謎の黒三角がある」というウワサを聞いたことはないだろうか。フロントウィンドウの両脇、中心よりちょっと上あたりに、とても小さな三角形のマークが置かれている。
この「謎の黒三角」は、製造上の都合で発生したものではなく、ユーザーメリットのためにあえて設置されているマーク。ここでは、その謎について解明すべく、ホンダから教えていただいた話を紹介していこう。
結論からいうと、この黒三角の効果は「不思議と目線が安定し、狭い通路や狭いカーブにおいて車線の中心をしっかり走ることができる」というもの。ホンダ自身も、なぜそうした効果があるのか脳科学的には証明できていないというが、特許を取得するなどしている以上、効果があること自体は間違いないという。
開発の経緯としては、視界のよさが運転しやすさにつながる背景を深掘りしたことがきっかけになっているということだ。
研究の結果、狭い道での左折や、ゲートの間を通り抜けるといった空間認識が必要なシチュエーションにおいて、空間定位能力が重要と結論付けられた。
具体的には滑らかで水平な視線がポイントになるという。そうした視線をサポートするために何かできないかと考え、生まれたのが「黒三角」である。
この三角マークをフロントウィンドウの両脇に配置することで、なぜか視線が安定することが確認でき、市販車に採用されることになった。
初採用は2008年5月に発売された初代フリード。以降、ホンダの市販車には国内向け、グローバルモデルを問わず採用されている。
ただし、非採用のホンダ車もある。
その代表といえるのが軽スポーツカー「S660」なのだが、その理由は「適切な位置に置けないため」というものだ。ほかにも国内向けでいえば、N-BOX SLASHにも三角マークはついていなかった。
三角マークはアイポイントから13°上方に設置することで効果を発揮すると判明しているのだが、これらのクルマの場合は、フロントウィンドウの上下幅が短いために設定したい位置にガラスがないというのが理由だ。
まとめると、ホンダ車の共通の三角マークには、ドライバーの視線を安定させる効果がある。
そして、冒頭では「謎の黒三角」と記したが、じつはホンダとしての正式名称もないという。社内では「▼マーク」と呼ばれているそうだ。
なお、この三角マークに関する特許は2024年頃に切れてしまうという。もしかすると、2025年以降にはホンダ車以外でもフロントウィンドウの三角マークを見ることができるかもしれない。