【試乗】安くて完成度が高いって成功の可能性大! 中国メーカーBYD「ドルフィン」は魅力たっぷりなクルマだった (2/2ページ)

BYD第2のモデルは日本市場でも十分に成功の可能性を秘めている

 インテリアも大胆な曲線を使うことで、あたかも自分が海の中にいるかのような印象を抱かせてくれる。ウインカーレバーを国産車ユーザーが使い慣れた右側とするなど、こちらも日本仕様へのローカライズは万全。

 センターの大型ディスプレイは使用する目的によって、スイッチ操作で横方向にも縦方向にも回転。たとえばナビゲーション画面などは圧倒的に縦方向で使用した方が使い勝手には優れるだろう。

 ドルフィンに用意されるグレードは、スタンダードな「ドルフィン」と、「ドルフィン・ロングレンジ」の2タイプ。前者には44.9kWhの、後者には58.56kWhの容量を持つBYD製のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーが搭載され、最大航続距離はそれぞれ400km、476km(WLTCモード、BYD調べ)。急速充電はCHAdeMOに対応する。

 今回試乗したモデルは、最高出力で95馬力、最大トルクで180Nmを発揮するスタンダードなドルフィンだったが、市街地レベルでの走りではそのパフォーマンスに不満を感じることはほとんどなかった。

 加速フィールもナチュラルなもので、EVらしい強烈な加速を楽しみたいカスタマーには、それはやや物足りないのかもしれないが、必要なときには発進時でも中間加速時でも、十分満足できる加速が得られるのはうれしい。最高出力が204馬力とされるロングレンジは、さらに走りにスパルタンな印象が加わるのだろう。

 BYDのブレードバッテリー、そしてスタンダードモデルに使用されるトーションビームサスペンションの恩恵で、走行中の剛性感はこれも相当に高い。

 唯一残念なのはここまで魅力的なモデルを作ったのだから、装着されるタイヤからのロードノイズをもう少し上手く処理してほしかったという点。

 ともあれ、その装備内容も含め、新たに加わったBYD第2のモデルは、日本市場でも十分に成功の可能性を秘めた一台、と結論づけてもよいだろう。


山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ
趣味
突然思いついて出かける「乗り鉄」
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