場所によっちゃ「水を失った魚」のごとく「なんじゃこりゃ」な走り! 残念な「乗り心地」のクルマ4台 (2/2ページ)

乗り心地は実際に乗ってみないとわからない

 3台目は、2007年にプレミアムスポーツセダンとして登場したレクサスIS F。当時はトヨタ、レクサスを通じて本格的なスポーツモデルが絶滅しかかっていた時期で、5リッターのV8エンジンを搭載して300km/hオーバーでも楽しめる走りを目指して開発された、豊田章男氏肝入りのプロジェクトとして注目されていました。

 専用セッティングが施された「8Speed SPDS(Sport Direct Shift)」という8速ATによって、423馬力/505Nmというモンスター級のパワーを引き出し、ブレンボと共同開発した大型ブレーキローターを採用したIS Fの走りは、確かに当時とてもトンガっていて感心したものですが、乗り心地だけは運転席でさえも内蔵が一回転しそうな突き上げを感じたり、お尻がだんだん痒くなってくるような微振動が続いたりと、これまたちょっとデートには不向きかもしれません。

 4台目は、プレミアムなラグジュアリーSUVの先駆けとして2002年に北米で発売され、大人気となって日本でも2004年から発売されたニッサン・ムラーノ。エレガントなフロントマスクの彫刻的ボディに、3.5リッターV6と2.5リッター直4の2タイプのパワートレインを搭載して、レザーを贅沢に使ったインテリアも魅力的なモデルでした。と、日本では過去形ですが北米では継続して販売されており、新型もお披露目されたばかり。日本での復活を心待ちにするファンも少なくないようですね。

 このムラーノの初代に試乗したときに、ちょっとしたナゾだったのが乗り心地。3.5リッターV6モデルで車重は1.8トンなので、現代からするとそれほど重くないですが、当時はそこそこ巨体の部類に入っていました。

 発進はちょっと重めですがそこから先はスムースな加速フィールで、クルージングに入ると安定してスルスルと駆け抜けてくれます。一般道ではステアフィールもしっとりなめらか、継ぎ目のショックは小さくて上質感があります。ところがワインディングに入ると、舗装が乱れているところなどでナゾの浮遊感が発生。ビタッと路面に食いついて欲しい場面で、フワッと身体が浮く感じなのです。

 挙動そのものには不穏なところは出ないのに、振動もやや大きめで乗り心地に関してはプレミアムと言いきれず、豪華でゆったりとしたシートが見かけ倒しに感じてしまったのでした。新型がどのように熟成されているのか、乗ってみたいものです。

 ということで、見た目からもスペックからも判断できず、実際に乗ってみないとわからないのが乗り心地ですね。走りのよさと乗り心地のよさは、クルマづくりにおいては相反する要素が求められるものだと言いますので、これからの進化にも注目していきたいと思います。


まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
MINIクロスオーバー/スズキ・ジムニー
趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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