自作のパーツなどを用いて気分は完全にレーサーだった
日産 セドリック ターボブロアム(430)
サバンナがサーキットに由来した族車カスタムだったのに対し、セドリックは街道レーサーというフレーズがしっくりきます。なにしろ国産初のターボ過給マシンですから、シャコタン、バーフェン、サイドステップ、さらには竹槍マフラーといった全部載せが定番中の定番かと。430は各社からエアロパーツが数多くリリースされていましたので、フロントスポイラーの形も選り取り見取り。とはいえ、パテやらFRPを駆使した自作出っ歯のほうがより街道チック、族車らしく見えるのではないでしょうか。
そんないかついフロントマスクには、アールズなんかのオイルクーラーを取り付けるのも族車としてはデフォ。しかしながら、本家の本物は非常に高価なため、「なんちゃってオイルクーラー」を付けている族車も散見できました。
ちなみに、1990年代以降、現在に至ってもセドリック/グロリア系の族車カスタムは大盛況で、地方の成人式で見られるような1メートルもある出っ歯、二階に届くような竹槍マフラー、そしてルーフのカットオフによるオープン化など、街道レーサーEVOといったニュアンスかと(笑)。
トヨタ・セリカ リフトバック2000GT
シャコタン☆ブギの洋一くんなんてキャラが生まれるくらいですから、TA22、つまりダルマと呼ばれたノッチバッククーペも族車カスタム界では1、2位を争う人気モデル。ですが、ここは「ソレタコデュアル」を定番チューンとしたLBを選んでみようかと。
ソレ=SOREXキャブ、タコ=タコ足マニホールド、そしてデュアル=デュアルマフラーという往時のエンジンチューンにおける三種の神器ですが、なんとなくLBが一番しっくりくるような気がします。むろん、同様のチューニングはスカイラインや30Zでも大流行しているのですが、暴走族カスタムというニュアンスは圧倒的にセリカに軍配が上がるはず。
実際、フルボリュームで排気音を聞いてみれば「たしかに、族車っぽい」となること請け合いです。
メカニカルチューンがメインストリームだったこともあり、上述の2台に比べさほど派手なドレスアップは少なめ。ですが、ニューマンスカイラインでおなじみのシルエットフォーミュラ的なカスタムも一部の熱狂的ファンが完コピした族車というのがありましたね。
いまでこそBMWのチューンで有名なシュニッツァーがヨーロッパトヨタのワークスマシンを製作。成績こそ振るわなかったものの、タミヤからRCキットが発売されるなど、マシンとしては大人気でした。おかげで、スポンサーだった「ローデンシュトゥック(ドイツのメガネブランド)」の名前が脳裏に刻み込まれ、筆者はいまだに同社のフレームを愛用するはめに(笑)。
こう考えると、1970~80年代は、族車カスタムをはじめクルマにまつわるさまざまな文化が生まれ育った時代であり、各地の成人式や大みそかの暴走ニュースを見るまでもなく、そういったカスタムが連綿と引き継がれているというのはじつに感慨深いもの。なるほど、世界中がBOSOZOKUともてはやすのも納得ですね。