音だけじゃない「熱い走り」を秘めたクルマもある
3台目は、惜しまれながら生産終了が発表された、ルノーの末っ子コンパクトカーのトゥインゴのなかで、2017年に限定200台として発売された、高性能モデルのトゥインゴGT。見た目はノーマルモデルとほぼ変わらず、コロンとしたキュートなフォルム。でもエンジンをかけると野太い音が響き渡り、気分が一気にレーシーに高揚してしまいます。
リヤにまわってみると、2本出しのクロームエキゾーストパイプがやる気マンマン。排気流と排気圧を最適化するためにエキゾーストシステムにも手が加えられているというから、ちょっと誇らしい気持ちになりますね。エンジンが荷室床下に搭載されるのはベースモデル同様で、0.9リッターの直3ターボエンジン。ECUのマッピングの変更や、吸排気系および冷却システムの改良によって、最高出力109馬力、最大トルク170Nmを実現しています。
4台目は、かつてアストンマーティンがトヨタと共同開発で販売した、いまとなっては幻となっているコンパクトカー、シグネット。ル・マン24時間レースの現場で意気投合したというトヨタとアストンのトップ同士の会話から実現した、ウソのような奇跡の1台です。
全長3mを切るマイクロボディなのに、フロントマスクはどこかDB9の面影があり、室内はオールレザーの超ラグジュアリーな仕立て。エンジンは1.3リッターの直4で、6速MTとCVTが用意されていました。私はこれを香港で試乗してきたのですが、狭くて迷路のような市街地をクルクルと最高の小まわり性能で走り切るシグネットは、痛快な楽しさがあったのでした。もちろん、エンジンをかけた瞬間の音もオーケストラのようにいい音色で、うっとりしたのを覚えています。
さて、5台目はちょっと古いモデルになりますが、国産メーカーのエンジニアたちが好きなことをやりたい放題やったのでは、と思えるくらいぶっ飛んでいたのが、ダイハツ・ストーリアX4。ストーリアといえば、ちょっと宇宙人のような、ウーパールーパーのような、愛嬌あるフロントマスクが特徴的。その雰囲気はそのままに、全日本ラリーに向けたモータースポーツ用のベース車両として誕生したのが、このストーリアX4でした。
排気量は713ccなのですが、タコメーターを見ると、8500rpmからレッドゾーンが始まるというのがレア。その始動音も猛々しいもので、運転するとこれまたクラッチの操作感があまりにカッチリしていて驚きます。機械式LSDが組み込まれているので、低速で曲がるときなどにガッキンゴッキンといった音がするのも独特でした。こんなにぶっ飛んだコンパクトカーはもう、出ないかもしれないなぁと思うと、少し寂しい気もしますね。
まさに、音のイカツさにボディサイズや排気量は関係ないゼ! と身をもって証明してくれたモデルたち。一度は聴いてみてほしいギャップ萌えサウンドです。