大柄なボディはゆとりのある車内空間を実現
パッケージもホンダのクリエイティブさが満載。2列目席はデタッチャブルシートで取り外しが可能。3列目席はホンダ上級ミニバンの例にしたがって床下収納式になるのだが、3列目席格納+2列目席外しでは、それこそ大型商用バン並みの前席+大容量(奥行2530×幅1220×天井高1240mm)のラゲッジルームを備えたユーテイリティカーに変身する。
それだけじゃない。床下収納式の3列目席はクルリと回転させることで反対向き(車体後方向き)にセットすることができ、ひさしとなる大型テールゲートを開ければ、3人がけの外向きベンチにもアレンジできたのだから、楽しすぎる!!
その室内空間は、室内長こそ全長からすれば拍子抜けな感じだったものの、室内幅はさすがに余裕たっぷり。インテリアの仕立てはフツーで豪華さはなかったが、当時としては贅沢な両側パワースライドドア、スイング式リヤクォーターウインドウの電動開閉には感動させられたものだ。
当時の試乗メモを引っ張り出せば、エンジンは文句なくトルキーでスムース。1900kg超えの車重だけに、出足は重ったるいものの、いったん速度が乗ってからの加速力はなかなか。そして、VTECエンジンを高回転までまわしたときの気持ち良さは、筆者も所有していた2代目オデッセイの3リッターV6に通じるものがある。そして3.5リッターV6ならではの巡行時の車内の静かさにも驚かされたものだ。
ただし、荒れた路面や段差の乗り越えでフワリとする収まりの悪い乗り心地、穏やか過ぎて、速度を増すとタイヤからのインフォメーションが乏しくなるステアリングの操舵感がウィークポイントに思えたのも本当だ。言ってみれば、古きアメリカ車のようだが、それには理由がある。そう、タイヤがカナダ生産だからか、オールシーズンタイプだったのだ。オデッセイのようなサマータイヤを履かせれば、印象、走りの質が大きく変わったと想像できる。
とはいえ、高級ミニバンとしての完成度の高さ、商品力の高さに、”ボディサイズと走行性能を除けば”大感動させられたと記憶しているのが、かつてあったホンダのフラッグシップミニバン、日本ではデカすぎてか短命に終わったアメリカ版オデッセイのラグレイトだったのである。
さて、今年の冬に復活するオデッセイだが、非ボックス型であり、両側パワースライドドア装着ミニバンとしては低全高。ホンダのフラッグシップミニバンではあるものの、トヨタ・アルファード、走りに振ったヴェルファイアとは車格的、押し出し感的に敵わない点は、以前のオデッセイとまったく変わらない。ならば、ホンダがラグレイトクラスのミニバンを復活させれば、アルファード&ヴェルファイア、エルグランドとの国産LLクラスミニバンの3巨頭になりうるかも知れない。
もっとも、かつてのラグレイトのような、デカいオデッセイ的なおとなしめのエクステリアデザインでは、堂々としたボックス型のアルファード&ヴェルファイアに太刀打ちできるはずもない。ここのところのステップワゴンに象徴されるホンダミニバンのデザインコンセプトを、もう一度練り直して、大迫力のホンダLLクラスボックス型ミニバンの登場を期待したいものだ。