75年ぶりに新規の路面電車が栃木に開業! 「これで便利になった」とは言えない他交通との「乗り継ぎ問題」 (2/2ページ)

クルマのほうがやはり利便性は高い

 筆者は年に一度ぐらいのタイミングでプライベートにて10日間ほど南カリフォルニアを訪れ、その間の移動手段はほぼすべてレンタカーに頼っている。10日の旅を終えて日本に帰国し、とくに電車で空港から自宅に帰るときは乗り換えや車内混雑などを苦痛に感じてしまうほど(とくに他人との間隔が狭いのは結構プレッシャーに感じる)、マイカーでの移動は便利だなぁと感じてしまう。

 この便利さに慣れきってしまった人の目を公共交通機関に向けるには、筆者個人としてはLRTの駅からの乗り換え交通が充実していないように見える。自宅や勤務先と駅の間を可能な限りストレスなく移動できることが大切ではなかろうか。インドネシアなどの新興国では、バイクタクシーというものがあり、リーズナブルで小まわりがきくのだが、日本ではまずそのような旅客サービスが許されるわけはないだろう。

 路線バスの新規路線開設や、各駅にタクシー乗り場を設けようにも、手間だけでなく乗務員の確保もままならないいまでは、現実的とは言えない。ならば、それに代わってマイカー保有台数も多いのだから、一般ドライバーがマイカーでライドシェアサービスを行い、乗り換え交通機関の補完をするというのは、ライドシェアの本格解禁へ向けての試験的導入の意味合いでも大きいと考える。ロサンゼルスやその周辺は、アメリカのなかでもとくに自家用車がないと生活できないとまで言われたが、いまではライドシェアサービスの普及で若年層では運転免許を持たない人も目立ってきているとのこと。

 また、自家用車を持てない(1台しかなくて家族の誰かが通勤に使ってしまい日中の移動の足のない人なども含む)所得層の人でも、ライドシェアサービスでショッピングモールへ気軽に出かけ買い物している姿も見かけるようになった。

 前出の宇都宮駅西口の路線バスでも、運行間隔も短く利便性も高いのだが、通勤時間帯でも都内や隣接県でイメージするほど車内が混みあうことはない。マイカー移動に慣れきってしまったあとに、公共交通機関の利用へ移行するのは単に利便性を高めたとしても、意識変化を促すのにはかなり厳しいものがあるものと考えている。

 75年ぶりの新規LRTの成否は乗り換え交通のさらなる充実にあるといっていいだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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