この記事をまとめると
■ラリー北海道で注目を集めたのがスバルのニューマシン「スバルWRXラリーチャレンジ2023」だ
■スバルWRXラリーチャレンジ2023はWRX S4をベースに開発したオリジナルマシン
■まだテスト段階で実力のすべてを発揮できていないが今後のスバルWRXラリーチャレンジ2023の活躍に期待
ラリー北海道に姿を見せたスバルのニューマシン
全日本ラリー選手権の第7戦として9月8〜9日、北海道帯広市を拠点に開催された「ラリー北海道」では、既報のとおり、トヨタGAZOOレーシングWRTのチーム代表、ヤリ-マティ・ラトバラが「GRヤリスJP4-Rally2」で圧倒的なパフォーマンスを披露。ライバルを寄せ付けることなく優勝を果たしたが、そのラトバラ×GRヤリスRally2と同様に注目を集めていたのが、スバルのニューマシン「スバルWRXラリーチャレンジ2023」だと言えるだろう。
同モデルは文字どおり、スバルが全日本ラリー選手権のJN1クラスをターゲットにWRX S4をベースに開発。JAF-JP4規定に基づいて仕上げられたオリジナルマシンで、さまざまなアイディアが注ぎ込まれている。
まず、同モデルを語るときに欠かせないポイントとなるのが材質置換による軽量化で、フロントスクリーン以外の材質をガラスからポリカーボネートへ変更するほか、ルーフやドアトリム、トランクリッドなどのボディスキンをカーボンに変更。
エンジンは2.4リッターのFA型エンジンがそのまま採用されているが、ミッションのシーケンシャル化が実施されるほか、競技用のサブフレームやロワアームを採用されるなど足まわりも徹底的なモディファイが実施されている。
ちなみにテスト時では右ハンドルになっていたのだが、ラリー北海道に合わせて新井は左ハンドルに変更している。その理由について、「右ハンドルで乗れなくはないんですけど、20年以上、左ハンドルでラリーをやっていますからね。やはり左ハンドルに慣れているので変更しました」と語る。
同モデルは第5戦のラリー丹後にデビューする予定だったが、スバルのワークスチーム「スバル・ラリー・チャレンジ」のドライバーのひとり、鎌田卓麻がテスト中にクラッシュを喫し、鎌田と同乗者が重傷を負ったことから、スバルはワークス活動を休止していた。代わって、アライモータースポーツが同モデルを引き継ぎ、第7戦のラリー北海道でスバルのニューマシン、スバルWRXラリーチャレンジ2023を投入したのである。
「まず、S4はスバル・グローバル・プラットフォーム、SGPなのでボディがしっかりしていて、ロールゲージを組む前からVAB型のWRXより剛性の高さがありました。それにエンジンがEJ20からFA24に変わったことも大きい。吸気リストリクターが装着されているので高回転側が使えないんですけど、排気量が増えたことで、低速トルクを出せるので、そこをうまく使えば戦闘力を出せると思います」と新井は語る。
しかしその一方で、「車両重量が今年の久万高原ラリーまで参戦していたVAB型WRXよりも重いし、ホイールベースが長いので、細かいコーナーは厳しいです」と弱点を語る。