世界レベルの走りが今後のJRCにも好影響をもたらす
さらに、今大会はRally2カーの開発を目的とした参戦で、「日本はヨーロッパとはまた違うステージですが、日本の狭いSSでもクルマのフィーリングが良いものでした。Rally2の開発のうえで良いフィードバックができると思います」と手応えを語っている。
2020年のスウェーデン以来となるWRCラウンドとなった第9戦のラリー・フィンランドでも、ラトバラは初めてドライビングするGRヤリスRally1ハイブリッドで5位入賞を果たしていただけに、筆者は「ラリー北海道でも勝つだろう」と予想していだが、まさか、1kmあたり1秒以上の差をつけるとは思っていなかった。
たしかに、2位につけた勝田のマシンと比べると、ラトバラのマシンは同じGRヤリスJP4-Rally2でも、最新のアップグレードが行われていることは目に見えてはいたが、それを加味しても、ラトバラの走りは異次元のものと言えるだろう。
この世界レベルの走りに、全日本ラリー選手権を戦っているレギュラードライバーも舌を巻いており、同じRally2カーのステアリングを握った勝田は、「プッシュはしているんですけどね。1kmあたり1秒も離されてしまいました。ラトバラ選手と走ったことで、ドライビングを見直すいい機会になりましたし、いろんな発見をすることができました」とのこと。
さらに、シュコダ・ファビアR5で3位に入賞、2年連続でチャンピオンを決めたヘイッキ・コバライネンも「高速グラベルラリーでは課題があり、昨年よりドライビングもセッティングも改良することはできたんだけどね。ノリさんに離されてしまったし、ヤリ-マティにも大きなリードを築かれてしまった。トヨタはビッグチームで、最新のRally2カーも速いからね。チームとしてベストを尽くすことができたし、タイトルは取れたけれど悔しさは残るよ」と複雑な表情を見せる。
まさに今年のラリー北海道はWRCとJRCの違いを垣間見る一戦となったが、その一方で、世界基準のラトバラと同じ土俵で戦うことによって、明らかに勝田、コバライネンなど、全日本ラリー選手権を戦うドライバーたちもドライビングおよびセッティングがスキルアップしたことだろう。ラトバラがラリー北海道で見せた圧巻の走りが、JRCに良い化学反応をもたらすに違いない。