3Kとされるタクシー運転手の成り手がそもそも少なすぎる
その一方で、サラリーマンが副業を持つというのもトレンドとなっている。正業としてのタクシー乗務員に興味がなくとも、空いた時間を利用した副業となるライドシェアではドライバーも集まりやすいかもしれない。
日本でライドシェアが解禁になるとしても、タクシーの派生サービス的存在となるのではないかと考える。カーシェアリングの車両は「わナンバー」となっており、分類上はあくまでも「レンタカーサービスのひとつ」として分類され、一般的なレンタカーサービスに準じた運営となっており、実際レンタカー会社が運営していることが多い。
この流れで考えると、ライドシェアのドライバーとはいえ二種免許が必要で、使用車両は旅客運送車両として緑地に白文字のナンバープレート扱いにしないといけないということにもなりそうだ。しかし、このあたりはすでにタクシー業界ではスマホアプリによる配車で、乗降地が確定しているなどケースによっては一種免許でも運行できるようにすべきとの論議もある。政府もライドシェア解禁には前向きとの話もあるので、『ライドシェア=なんちゃってタクシー』色はそれほど濃くはならないのではないかとも考えている。
また、海外のライドシェアでも大きくわけてふたつのパターンがある。ひとつは自家用車であくまで個人でライドシェアサービスに参加するパターンと、もうひとつはオーナーがライドシェアサービス用の車両を用意してドライバーに貸し出し、ドライバーが受け取る報酬の一部をオーナーに払うという、「第二タクシー」のような組織でサービスを行うケースがある。日本は後者のタイプに近い形でライドシェアが解禁になるのではないかとも考えている。タクシー会社より働く時間の自由度を大きくし、空いた時間に行うというスタンスを重視していくことになるのではないだろうか。
ライドシェアのほうが料金は安いとの話もあるが、ニューヨークあたりではすでに一般のタクシーと同等になっているようなので、あくまで不足気味のタクシーを補完する意味でライドシェアが日本国内でも導入されると考えたほうがいいだろう。
ただし、気を付けたいことはある。アメリカでテレビを見ていると弁護士事務所のテレビコマーシャルを多く見かける。少し前は交通事故の示談交渉をアピールしていたが、最近はライドシェアサービス利用時のトラブル解決をアピールするものが多い。つまり、それだけライドシェアサービス利用時のトラブルは多いようだ。
懸念材料はあるものの、現実のタクシー不足は早急に解決するのは困難ともいえる。収入保証を手厚くしても、いまでは隔日勤務で連続20時間(休憩あり)ともいわれる勤務時間の長さや、勤務の長さからくる事故発生リスクの高さなどに抵抗を示されることが大きいようだ。こうなってくると、「空いている時間で稼ぐ」といったスタイルのライドシェア解禁が問題解決の早道のようにも見える。
ただし、くれぐれも早計な判断で解禁することなく、時間をそれほどかける必要はないが、内容の濃い議論を進めて日本にあったスタイルと言うものを確立して解禁してもらいたい。