店長なんてまっぴらごめん! いまどきのディーラーマンが「若手じゃなくても」出世を拒むワケ (2/2ページ)

ハラスメントに敏感な現代は店長にとっては働きづらい

 いまだに、某大手買い取り&中古車販売店のニュースが世間を騒がしているが、そこまでブラックというか常軌を逸していないとしても、店舗の収益が芳しくなければ、ディーラー本部からは店長への叱責のようなものはあってしかるべきだろう。

 過去には、稼ぎどきの週末(土曜・日曜)の営業を経て月曜日にディーラー本部に店長が集められ、成績の悪い店舗の店長へはそれこそ「罵詈雑言」のようなものが浴びせられると聞いたことがある。また、ディーラー幹部は幹部で、会社全体の成績が芳しくないとメーカー本社へ呼び出され、罵詈雑言とまではいかないまでも、ネチネチとお説教のような話を聞かされたとも聞いたことがある。

 店長になると、新車販売だけでなく物販も含むメンテナンス部門の収益管理も行うことになる。新車販売がメインなので、当然新車販売経験のある人が店長になることがほとんどなのだが、最近では、新車販売経験のない、サービス部門の工場長から抜擢されることもあるようだ。

 現状の新車販売現場では、新車を販売して得られる利益はたかが知れている。アフターメンテナンス部門の収益を重視する傾向もあるので、新車販売は経験の長いベテラン課長などに任せ、店舗としてはメンテナンス部門の収益強化を進めるという狙いもあるようだ。

 細かい話をすれば、店舗スタッフの管理もいまどきは苦労が多い。いまどきの新人セールススタッフにお小言でも言えばたちまち「パワハラ」として訴えられかねないし、新人が女性ならば指導の際のちょっとした行き違いから「セクハラ」とならないような配慮も必要となる。

 少しでも退社が遅くなれば今度は若手セールススタッフの両親が労働基準監督署に駆け込んでしまうので、いまどきは残業禁止とするディーラーも目立つ。

 とにかく、昔の店長のように怒鳴り散らしてプレッシャーをかけて新車を売らせるというのは完全NGとなっている。家庭で立場のないお父さんというイメージが世の中で定着して久しいが、多少オーバーであっても、いまの店長はそれに近い存在のタイプも多く見受けられる。

 中間管理職がつらい立場なのは、何も新車販売の世界に限った話ではないが……。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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