「休みを取れ」の指示も「販売ノルマ」は変わらず! 働き方改革に追い詰められる新車ディーラーマンの苦悩 (2/2ページ)

実働時間は減れどもノルマは減らない!

 大型連休を嫌う人はまずいないだろう。ただ、セールススタッフのなかには憂鬱な気分で大型連休を過ごす人も少なくない。「休みが多くなったり、日々の勤務時間が短くなることに問題はないでしょう。しかし、実質稼働時間が減ってもノルマが減ることはありません。また、どうしても人間ですから、連休明けには調子を戻すまでに時間を要します。セールススタッフとしては、連休前にできるだけ受注台数を積み上げて、安らかに連休を迎えたいと考える人も多いようです」とは事情通。

「しっかり休んでください。でもノルマは必ず達成してね」というものがディーラーのセールススタッフに対するスタンスなのである。新型コロナウイルスが猛威をふるっていたころ、行動自粛制限もあり、外出する人も少ないなかでも各セールススタッフへの販売ノルマが減ることはなかったというので、ある意味「ブレがない」ともいえよう。

 それでもバブル経済のころでも、「奇跡的に土曜日に3台受注が入ったので、日曜日を休みにした(当時は日曜日を休日出勤扱いにしていたディーラーも多かった)」という話もあったが、現状ではその当時よりはるかに新車販売市場は縮小しており、受注をとるのは大変なことになってきている。また、仮に順調に注文が取れたとしても「納期遅延」という問題にひっかかってしまうのがいまどきの新車販売現場の実状。

「働き方改革」を旗印に、セールススタッフの就労環境の改善も進んできている。しかし、筆者が見たところでは、残業厳禁、そして休日増加だけが先行してしまい、そのほかは手つかずというアンバランスななか進んでいるようにも見える。トータルで働き方を見つめなおさないと、憂鬱な大型連休がいつまでも改善しないままとなってしまうだろう。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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