この記事をまとめると
■カタログには「燃料消費率」というものが記載されている
■日本独自の測定モード「JC08モード」と国際基準「WLTCモード」というのがある
■エコカー減税などで申請した際のエビデンスとして両方記載するメーカーもある
JC08モードとWLTCモードはなぜいまだに一緒に表記される?
カタログには燃費の基準となる「燃料消費率」について記載されている。
カタログスペックとリアル燃費の乖離というのは問題視されることがあり、現在の国土交通省審査値はWLTCモードを採用しているのは、ご存じのとおりだ。
それまで採用されていたJC08モードが日本独自の測定モードだったのに対して、WLTCモードは国際基準といえるもの。総合的な燃費性能だけでなく、市街地/郊外/高速道路と3種のモードについての数字も掲載されているため、燃費の参考になるという声も少なくない。
そんなWLTCモードに切り替わったのは、2017年夏のことだ。しかしながら、それから6年が経った2023年になっても完全にWLTCモードに切り替わったわけではなく、JC08モードが併記されているケースはある。
たとえば、9月4日に改良を発表したマツダCX-5の最新スペックを眺めていると、WLTCモードに加えて、JC08モードが併記されていることに気付くだろう。
XD(クリーンディーゼル・FF)の燃料消費量の項目は以下のように記されている。
WLTCモード燃費(国土交通省審査値):17.4km/L
市街地モード:13.9km/L
郊外モード:17.4km/L
高速道路モード:19.5km/L
JC08モード燃費:19.0km/L
モード走行の違いによって、トータルではWLTCモードのほうが厳しい数値になるが、高速巡行をするようなシチュエーションでは、JC08モードを超えた燃費で走行することも可能な実力を持っているであろうことが読み取れる。
また、現行のWLTCモード燃費値と従来のJC08モード燃費値を併記してもらえると、ユーザー的には旧型モデルとの比較もしやすく、買い替え検討での参考になるという部分もある。メーカーの手間はかかるだろうが、両モードを併記するというのはユーザーメリットが多いように思える。
それはともかく、メーカーとして国土交通省審査値であるWLTCモードとJC08モードの燃料消費率を併記する理由はあるのだろうか。
マツダ広報部に、こうした疑問をぶつけたところ次のような答えが返ってきた。
「エコカー減税などで申請した際のエビデンスとして、WLTCモード値とJC08モード値の両方を諸元表に掲載しています。CX-5のディーゼル車ですと、自動車税(環境性能割)が非課税、重量税(エコカー減税)が免税となっております」。
もちろん、ふたつのモードを併記するというのは義務ではない。マツダでいえば、最新世代のCX-60においてもWLTCモードとJC08モードを併記しているが、これはメーカーの判断であって、旧モードでの数値が表示されていなければエコカー減税の対象外になるという話でもない。
実際、国産車でトップクラスの燃費性能を誇るトヨタ・ヤリスハイブリッドの諸元表には、WLTCモードの燃料消費率しか記載されていないが、エコカー減税の対象となっている。JC08モードが記載されていないからダメだという話ではないことは、しっかり認識してほしい。