この記事をまとめると
■9月8日に「FIA世界耐久選手権第6戦富士6時間レース」が開催された
■「MissionH24」というブースが設けられACOのピエール・フィヨン会長が視察に訪れた
■「LMPH2G」と「トヨタGRH2 レーシングコンセプト」が展示された
WECで走る予定の水素レーシングカーが富士にやってきた
9月8日富士スピードウェイでは、年に1度のビックイベントである「FIA世界耐久選手権第6戦富士6時間レース」が開催された。今シーズンから最上位クラスとなるハイパークラスでは、トヨタを筆頭にフェラーリ、プジョー、ポルシェ、キャデラック、ヴァンウォール、グリッケンハウス(富士大会は欠場)と多くの自動車メーカーが参戦。6月に行われた伝統のル・マン24時間レースでは、開始早々から白熱するバトルが随所で行われていたのが記憶に新しい。
そんなWEC富士6時間レースのイベント広場では、今回、「MissionH24」と呼ばれるブースが設けられ、燃料電池を搭載する「LMPH2G」と「トヨタGRH2 レーシングコンセプト」の2台が展示されていた。両車両とも国内では初のお披露目だ。
ル・マン24時間レースをオーガナイズする「ACO(フランス西部自動車クラブ)」とスイスの「GreenGT社」は、自動車レースのカーボンニュートラル化とゼロエミッションモビリティを目指し、FIA世界耐久レース選手権とその一大イベントであるル・マン24時間レースに、水素をエネルギーとするプロトタイプカーに限った新カテゴリーを設けるために、2018年「Mission24Hプロジェクト」を設立した。
今回ブースに展示されたLMPH2Gは、燃料電池を搭載した実験用のプロトタイプカーで、走行時には水のみを排出する画期的な車両となっているという。
2019年のミシュラン・ル・マン・カップのフリー走行では、内燃機関を搭載した車両として初めて走行を実施。その後、「Mission24Hプロジェクト」は、2代目のプロトタイプ仕様であるH24で、ミシュラン・ル・マン・カップの4レースに出走。同レースはル・マン24時間レースと同じ13.6kmのコースで行われる。出場するライバルたちと競いあったことで、目標に一歩前進を果たしたのだった。
また、トヨタの「GRH2 レーシングコンセプト」は、モビリティの脱炭素化に力を入れているトヨタが今年のル・マン24時間レースで発表した、将来の耐久レースの水素車両カテゴリー用に開発したマシンだ。こちらはスーパー耐久シリーズにおいて、2021年からカローラで絶賛開発中の水素エンジンが搭載される予定となっている。
なお、8日午後は「MissionH24」のブースではACOのピエール・フィヨン会長が視察に訪れ、トヨタのスタッフたちとコミュニケーションを図っていた。
ル・マン24時間レースとWEC世界耐久選手権では、近い将来燃料電池と水素エンジンというふたつの技術での参加が認められるクラスが設けられる予定。ゼロエッミションのプロトタイプカーが、ル・マンを制覇する日もそう遠くないかもしれない。