クルマが汚いユーザーに限ってメンテナンスパックに入らない
このような話はクルマが日常生活の移動手段として定着しているアメリカでも聞かれた。「ある日系プレミアムブランドでの話ですが、エンジン不調を訴えるお客がきたのでエンジンを見るとエンジンオイルがほぼ枯渇していて焼き切れ寸前だったそうである。そのお客は『欠陥で訴えてやる』と言い出してひと悶着あったそうです(事情通)」。
日本において日系ブランドでは、そのほとんどがメンテナンスパックを任意加入としている。新車販売では「売り切り」といって、協力してくれる整備工場などからの紹介で販売した車両は、その協力業者でメンテナンスを受けるような売り方もあるので、それへの配慮ともいわれている。
しかし、アメリカではメンテナンスパックは標準付帯されるのが一般的。「日本人のアメリカに対するイメージでは、休日などに自宅ガレージでオイル交換をするなど、自家整備がメインと思いがちです。しかし、さすがにアメリカでも地球環境問題への注目もあり、自宅前の側溝に交換時に発生した廃油を流すことなどができなくなったそうです。そもそもエンジンの電子制御化やさらなるメカニズムの進化もあり、自家整備ができないという現実もあるようです」(事情通)
日本では任意加入なので、もちろんメンテナンスパックを必ず利用する必要はない。現場のセールススタッフによると、「あまり走行距離が伸びないなか、洗車のたびにエンジンオイルの汚れや量など、エンジンルームのチェックをこまめにするようなお客さまほど積極的に加入していただけるのですが、『このお客さまには入ってもらいたい』という、下取り車が『乗りっぱなしという使い方だな』と伝わるお客さまにはなかなか加入していただけないケースが目立ちます」とは現場のセールススタッフ。
そのようなメンテナンスパックに加入していないお客のなかには、法定点検時にエンジンオイル交換を勧めても「また今度でいいよ」といわれることも多いとのこと。
筆者も走行距離が伸び悩むのだが、メンテナンスパックに必ず入り半年おきにエンジンオイル交換している。その際、担当セールススタッフには「オイルはサラサラで黒く汚れることもないので交換することについて地球に申し訳ない」と冗談を言うことが多い。
メンテナンスパックに必ず入ろうと言っているわけではない。昔に比べればたしかにいまどきのエンジンは手間いらずで故障も少なくなっているが、乗りっぱなしというわけにもいかないことだけは肝に銘じていただきたい。